「いい年に」と毎年願うのにパッとしない1年になるのはなぜ?
新年を「いい年」にするために願うこととは?
お正月は、もう目の前。「来年こそいい年にしたい!」と、誰しもが願っていることと思います。近年、不況、災害、円高、就職難など、暗いニュースが続いているからこそ、なおのこと多くの方が「いい年の来訪」を願っていることでしょう。そんな思いから毎年初詣に出かけ、「いい年の来訪」をお祈りする人も多いでしょう。でも、結局年の暮れに振り返ってみれば、「結局いつもと同じ、パッとしない1年だったなぁ」なんて思うことの繰り返しではないでしょうか。
「いい年」を願っているのに、実現できないのはどうしてでしょう? それは、願ったイメージに具体性が足りないから、なのかもしれません。
そこでぜひ今年の元旦こそ、「なってみたい自分像」を具体的に思い描いてみることをお勧めします。・・・・・・と言われても、具体的にどう思い描いたらいいのか、イメージできませんよね。ある質問を出しますので、まずはその答えを考えてみてください。
元旦に奇跡が起きたら、どんな1日を過ごす?
「奇跡が起こったら」と質問されたとき、どんなイメージが浮かびますか?
「なに? このくだらない質問!」と思うかもしれませんが、遊びと思って考えてみてください。奇跡が起きた朝には、どこで目覚めているでしょうか? そのときには、誰がそばにいますか? 朝一番に食べる朝食って、どんなメニューでどんな味でしょう? その日はどこに出かけますか?
この「奇跡」を考えさせる質問を「ミラクル・クエスチョン」といいます。問題を抱えていたり、現状に苦しんでいる人に、「問題が解決した後の自分」を想像してもらい、その具体的イメージの力で問題を解決の方向へと導く「ブリーフ・セラピー」と呼ばれるカウンセリング技法です。
ミラクルクエスチョン「私の場合」
「奇跡の朝」のイメージは生きる希望
イギリスの田舎の静かなコテージのベッドで、1人で目を覚まします。暖炉には火がくべてあって、部屋は暖かくなっています。窓辺から見る庭には季節の花がいっぱい咲き乱れ、その向こうには小高い山々が臨めます。
朝食には温かいコーヒーと、ジャムつきのパン。しばらくしたら、お弁当を持ってぶらりと近くの小道を散歩。風景を楽しみながらボーっと時間を過ごします。夕方にはまたコテージに帰ってきて、温かいシチューをいただきましょうか・・・・・・。
日常にちょっと疲れている私には、1人で遠い異国の田舎で、日がな1日のんびりと過ごしたいという思いが強いのかもしれません。とはいえ、もう3年もこんなイメージが浮かんでいるのに、今のところ「奇跡の朝」は実現されていません(笑)。でも、「いずれはお金も時間も家族も気にせず、こんな贅沢な休日を過ごすぞ!」という希望を持って、日々頑張って働き、日常生活を切り盛りしているのです。
年の初めに「ミラクル・クエスチョン」を!
新年会は「ミラクル・クエスチョン」で盛り上がろう!
たとえば、今現在、何かの病気を抱えている方に「奇跡が起きて、ある朝、病気が治ったとしたら?」と質問した場合、その方の脳裏には好きだった趣味にいそしんでいる自分の姿や、今まで言えなかった言葉を家族に伝えている自分の姿が思い浮かぶかもしれません。
また、職場の人間関係に悩んでいる方に「奇跡が起きた翌日に出勤したら、どんな職場になっているでしょう?」と質問した場合、その方の脳裏には、朝、みんなが笑顔であいさつしあっていて、冗談が飛び交っている様子が思い浮かぶかもしれません。
「奇跡」をすぐに実現するのは、難しいことに思えるでしょう。でも、「もし『奇跡』が起きたとしたら、こんなひとときを過ごしているかも」というイメージを具体的に描くことによって、「この『奇跡』を実現するにはどうしたら?」という解決策を考えるきっかけは生まれます。
たとえば、「趣味を楽しんでいる自分」を思い描いた病気の人が、療養中でもその趣味を楽しむ工夫を考えられるかもしれません。「あいさつの交わされる職場」を思い描いた人が、自分から周りの人にあいさつをし始めることで、いつのまにか職場の雰囲気が明るく変わっていくこともあるかもしれません。
「問題」に悩み、あれこれ迷い続けるだけより、「解決後の自分像」を具体的イメージすることで本当に解決に近づく「奇跡」を、カウンセリングの場でたくさん経験しています。
この「ミラクル・クエスチョン」は、新年会の話のテーマにもうってつけです。突拍子のない奇跡でもいいのです! 自分の「奇跡」を誰かに話すことで、そのイメージはより具体的な像として自分の脳裏に焼きつき、「実現には何が必要か」と考えるきっかけになっていくのではないかと思います。