コンテクストの破壊と創造
ドラゴンクエストモンスターズジョーカーでは、イオグランデやメラガイアーなど、新しい呪文が多数登場してます。(イラスト 橋本モチチ)
これをビジネスの側面から見ると、ハイコンテクストな文化は安定した顧客獲得の基盤となるが、新規顧客が参加しにくく、長く続くなかでだんだんユーザーを固定化し、そして最終的には先細りしやす状況を作るということが考えられます。
余談ですが、Wiiというハードは、そういう状況を危惧した任天堂が、極めてローコンテクストなゲームを投入するべく誕生したハードである、そういう言い方をすることができます。WiiSportsやWiiFitはゲームがこれまで積み上げた高く高くそびえるコンテクストを無視したが故に、多くの人に理解され、受け入れられたタイトルでした。同時に、ハイコンテクストなゲーム文化の中で価値を感じている人に訴求することに苦戦したハードでもありました。
Wiiほど劇的ではないにしろ、固定化しつつあるユーザー層を広げるという意味では、ドラクエにも近いことが言えるかもしれません。バギムーチョが初めて登場したのは、ニンテンドーDSのドラゴンクエストモンスターズジョーカーです。ドラゴンクエストモンスターズシリーズは携帯ゲーム機を中心として発売されているドラクエのスピンオフ的作品で、本編よりも低めの年齢層を主なターゲットとしています。ドラクエは近年、同じく携帯ゲーム機で展開するスライムもりもりドラゴンクエストシリーズや、アーケードのドラゴンクエストバトルロードシリーズなど、低年齢層へ向けたコンテンツを投入し続けています。
そして、ニンテンドーDSで発売されたドラゴンクエスト9で、バギムーチョは本編に初登場することになります。ここで子供用の展開と、これまでの展開が融合して、違和感を感じた人が多くなったんじゃないかと推測されます。
2011年はドラクエの25周年だけでなく、ゼルダの伝説シリーズも25周年、ぷよぷよシリーズとソニックシリーズは20周年となりました。毎年のように何かのタイトルがアニバーサリーを祝っているようにも思います。ゲーム業界が時間をかけてユーザーと一緒に成長していくなかで、素晴らしい文化の共有が行われてきました。しかし、これから更に20年、30年と頑張っていくには、次の世代を取り入れていかなければいけません。
バギムーチョに感じる違和感の正体は、これまでのコンテクスト、これまでの文化の破壊への抵抗感であるかもしれません。ガイドはやっぱりバギムーチョはピンとはこないのですが、破壊の先にある新たな誕生を信じれば、それはそれで良いと思えるような気がします。
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