ほとんど靴下の履き心地!
Mishoeのターンシューの底付けに採用されている「ターン式製法(Turned Construction)」は、ファーストシューズ(赤ちゃんが生まれてはじめて履く靴。欧米では記念に取って置く習慣があります)やバレエシューズなど、今日ではごく一部の靴にしか用いられていません。ただし少なくとも11世紀頃から存在し、19世紀半ばまでは西欧では極めてお馴染みだったもので、かのセルジュ・ゲンズブールが普段履きで愛用していたことで知られるRepetto(レペット)の靴も、実はこの製法で作られています。まずは手短に、どのような工程を踏んで作られるのかをご紹介致しましょう。1. アッパーをまず「裏返し状態」、つまり完成時には裏となる面を表に向けて、木型に釣り込みます。
2. 上記1.の状態のままで、アウトソールを糸で縫い付けます。
3. 木型を靴から外した後、かかと側からつま先側の順にアッパーをクルッと徐々にひっくり返し、本来は表になる面を露出させます。
4. 再び靴に木型を入れ(反転させているので、1.で入れたのとは左右の足を逆にですよ!)、ヒール装着などの仕上げを行います。
そう、この製法の最大の特徴は、工程の途中で靴の表面と裏面をひっくり返す=ターンさせている点! これを可能にするにはアッパー・アウトソール共に柔らかな革を使うことが求められるのですが、これがMishoeのターンシューの履き心地の特徴にも直結します。すなわち、まるで靴と言うよりも靴下のままで外出してしまったような、ずば抜けてソフトな感触が得られるのです。
その足あたりの良さは、言われるまで馬革(注:レディスは更にソフトな豚革を用いています)のライニングが貼られているのに気付けなかった程! つま先に先芯が入っていない点も、この開放的な着用感に大きく貢献しているのでしょう。更には底付けの前に一定の震動を与え柔軟にしたイタリア産のアウトソールは、ターン式製法の構造上断面が靴の中側にほとんど内包されてしまうのもプラスに働き、4.5mmと言う厚みの割にソフトで、外見上も不思議なほどスッキリ収まります。
ターン式製法の構造上、縫い目の段差が足の裏にどうしても来てしまうのですが、薄くて軽いスポンジを足裏全体に入れ、それを全敷きのソックシートで覆っているので、違和感は全く覚えません。採用している木型もメリハリの利いたクセの無いものなので、ズバリ、屋外だけでなく部屋の中でも履いていたい位の心地良さ! アッパーのデザインやアウトソールの工夫次第では、今後はそれこそ室内履きやドライビングシューズなどに応用も効きそうです。
ではMishoeのターンシューの発想の原点は? 「なるほど!」の答えは最後のページで!