とっさに出る一言でついケンカになってしまう場合・・・・・・
ドアを開けた途端に怒鳴られたら、誰だって冷静じゃいられなくなる
たとえば、約束を破った相手にちょっと小言を言っただけで、睨み返されたり逆ギレされたり。こんなときには、「自分が悪いわけじゃないのになぜ?」「そもそも怒らせるようなことをしているのは、そっちでしょ!」とやりきれない気持ちになってしまいますよね。
こうした場合、話し手の口から出る「とっさの一言」が相手を感情的にさせ、人間関係のトラブルに発展していることが多いのです。例を出して考えてみましょう。
門限を1時間すぎても帰らない子ども。そのとき親は、「まったく何時だと思ってるんだ!」「何で電話の一本も入れないんだ!」「何のための門限だ!」・・・・・・・こんな気持ちを煮えたぎらせていると思います。だからこそ、「ただいま」の声が聞こえるやいなや、その言葉をぶつけてしまうのでしょう。
すると、子どもはどう対応するでしょう? カッとなって、「しょうがないだろう!」「いきなり怒鳴るなよ!」とふてくされてしまうのではないでしょうか。このように、もとは相手が悪いのに、話し手の「とっさの一言」によって会話にならなくなってしまうことは、意外に多いのではないかと思います。
怒りの前にある感情「第一感情」を伝える
本当に伝えたかった気持ちを伝えられないまま会話を終えていませんか?
こうした場合、いちばん注意したいのが、
「とっさの一言」なのです。この例では「まったく何時だと思ってるんだ!」と、親がとっさに怒りを投げかけたことで、子どもの怒りも煽ってしまいました。そして、双方が「本当の気持ち」を語り合えないままに、イヤな印象を抱えただけで終わってしまいました。
では、このときに親が思っていた「本当の気持ち」とは何だったのでしょうか? 実は、怒っている人は、必ずその前に「ある感情」が浮かんでいるのです。これを「第一感情」といいます。怒りの感情はその次の感情、つまり「第二感情」なのです。
先の例の「第一感情」とは、どんな感情なのでしょう? たとえば、「こんな遅くまでどうしたのかな?」「何かあったのかな?」「心配だなあ」という気持ちではないでしょうか。つまり、不安や心配、悲しみ、落胆です。
怒り(第二感情)を伝える前に、この「第一感情」を伝えればケンカになりにくいのです。つまり、「すごく心配してたんだよ」と一言伝えればいいのです。
話し手が最初に「第一感情」を伝えていたら、聞き手も「第一感情」で答えたはずです。つまり、「しょうがないだろう!」が出る前に、「ごめんなさい」と言えていたはずなのです。