ルアン・パバンの歴史
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ワット・シェントーンにある祠堂レッド・チャペルのモザイク壁画。人々の生活の様子が鮮やかに描き出されている ©牧哲雄
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プーシーから見た王宮博物館本館。かつての王宮で、王族が集めた宝物や調度品を見学することができる ©牧哲雄
1353年、ラオ族のファー・グムがこうした都市国家を統一し、首都シェントーンを中心としてラーンサーン王国を建てる。
その頃アンコール(クメール)では交易先のスリランカやミャンマーから伝わった上座部仏教を取り入れていたのだが、ファー・グムはクメールと盛んに交流し、この新しい仏教を国全体に広めた。シェントーンにはたくさんの寺院が建てられて、僧や仏師をアンコールから迎え入れた。
15世紀、タイのアユタヤ王国(「古都アユタヤ」として世界遺産登録)がアンコールを滅ぼすが、16世紀にはそのアユタヤ王国もミャンマーのタウングー朝に落とされてしまう。ラーンサーン王国はこの脅威を避けるため、1560年に首都をビエンチャンに移し、シェントーンをルアン・パバンに改名する。
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最後のルアン・パバン国王であり、ラオス王国の初代国王であるシーサワンウォン王の銅像。王宮博物館に設置されたもの ©牧哲雄
その後1953年にラオス王国として独立するが、すぐに内戦に陥ってしまう。その内戦は1975年、ラオス人民民主共和国の成立をもって終了し、王制も廃止された。
このように、ルアン・パバンはつねに周辺国や宗主国の支配や脅威にさらされてきた。多様な文化が混じり合うその姿は、こんな歴史によるのだろう。そしてルアン・パバンは14世紀にシェントーンとして首都になって以来、王宮のある首都として、あるいは多数の寺院が立ち並ぶ聖なる都として、国民に愛されてきた。ラオ族の心のより所である点は、いまも変わらない。
ルアン・パバンの見所
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赤い五重屋根が美しいワット・マイ。ルアン・パバン様式でもデザインはお寺によってずいぶん違う ©牧哲雄
■ワット・シェントーン
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ナーガが守護する霊柩船を収めたワット・シェントーンの黄金祠堂ホーラー・サロット ©牧哲雄
■ワット・マイ
正式名称はワット・マイ・スワナ・プー・ラーム。アヌルット王が1796年に建てたお寺。ワット・シェントーンと並ぶ華麗な寺院で、ルアン・パバン様式の五重屋根や、釈迦の説話を描いた黄金の扉、『ラーマーヤナ』の物語を描いた黄金のレリーフなどが見所。ルアン・パバン様式のお寺には、他にワット・セーン、ワット・フォンシャイ、ワット・ホーシャンなどがある。
■ワット・ウィスンナラート
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高さ約35mを誇るワット・ウィスンナラートの仏塔、タート・パトゥム ©牧哲雄
■ワット・タートルアン
こちらもウィスンナラート王が1514年に建てたお寺。ビエンチャンにある黄金の仏塔で有名なお寺と同じ名前だが、こちらは少々地味。ワット・ウィスンナラートのものと異なる四角錐の尖った仏塔や、緑と金で覆われた巨大なナーガ像が印象的だ。境内にはシーサワンウォン王の墓もある。
■ワット・パバートタイ
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クアンシー滝。世界遺産ではないが、約4,000体の仏像が安置されたパークウー洞窟や、美しい石灰棚があるクアンシー滝も有名な観光スポット。いずれもルアン・パバン中心部から約30kmで、ツアー等で訪れることができる ©牧哲雄
■プーシー
「仙人の山」と呼ばれる高さ約150mの丘で、ルアン・パバンの街やメコン川、カーン川を一望する絶景スポット。頂上にはアヌルット王が1804年に建てた仏塔、タート・チョムシーがある。夕陽がとても美しい。
■王宮博物館
ルアン・パバン国王であり、ラオス国王でもあったシーサワンウォン王の宮殿。1909年に建てられたが、1975年に王制が廃止されると宮殿は機能を失い、現在は博物館として公開されている。