パン/パン業界情報、イベント

藤野真紀子さんの「味覚のアトリエ」(2ページ目)

フランスで20年余り続いている「味覚の一週間」のイベントが2011年10月24日(月)~10月30日(日)から日本でも本格的に始まります。今回は料理研究家でエッセイストの藤野真紀子さんによる「味覚のアトリエ」、焼きたてバゲットと4つの味覚の体験をレポート。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

藤野真紀子さんによる「味覚のアトリエ」

藤野真紀子さん

藤野真紀子さん


このイベントは「味覚の一週間」の協賛企業であるティファールからこの9月に新発売されたホームベーカリー「ブーランジェリー」で藤野さんがオリジナルのパンを焼く実演を中心に行われました。
ティファール「ブーランジェリー」

ティファール「ブーランジェリー」

子供向けの授業では4つの味覚「しょっぱい」「すっぱい」「にがい」「あまい」をそれぞれ塩、酢、ビターチョコレート、砂糖で体験させるそうですが、大人はすでに基本の味覚を知っているということで、藤野さんは今回、焼きたてのパンを愉しむ「しょっぱい」=カマンベールドノルマンディーのフォンデュ、「すっぱい」「にがい」「あまい」=文旦マーマレードを提案しました。
チーズフォンデュ

チーズフォンデュ

カマンベールチーズは水平に二等分し、皮を下にして陶器の耐熱容器に入れ、電子レンジに1分~1分30秒かけ、トロリとなったところをスライスしたバゲットにたっぷりのせます。
文旦マーマレード

文旦マーマレード

文旦マーマレードは、皮についた白いワタの部分も入れて作ります。4~5cmの長さで薄切りにした皮と、薄皮を剥いた果実部分と合わせ、総重量の65%のグラニュー糖に一晩漬けます。

藤野さんは琥珀色にして味にもコクを出したかったので、鹿児島の黒糖を砂糖の量の2割入れているそうです。種は100~150ccの水で煮詰めることで天然のペクチンがとれるので、漉して加えれば、500gの文旦に対し15g入れることになっているペクチンが半量ですみます。このマーマレード、鍋で煮てもいいですが、「ブーランジェリー」でできてしまうのだそうです。
ホームベーカリー実演

ホームベーカリー実演


ホームベーカリーではプチバゲット製作を実演、焼きたてがふるまわれました。このパンは藤野さんのオリジナルレシピで、フランスパン用小麦粉に半量程度の米粉、オリーブオイル、グラニュー糖も少々入っていて、正確にはバゲットではないのですが、ホームベーカリーにはぴったりのおいしいパンでした。プレーンバゲットのほかには、ナッツとイチジクのパンも紹介されました。クルミは皮ごと、渋さも味わいのうちです。

ティファールのホームベーカリーは、食べ切りサイズのプチバゲット用トレイやMOF(フランス国家最優秀職人)のフレデリック・ラロス氏のレシピがついているのも特長です。

パンを分割したり、表面を張らせるようにまるめる作業、生地を休ませたり、濡れ布巾をかけたり、大事に作るところを見せることは、子供たちのワクワクした気持ちにつながります。パンは何からできているのか、砂糖が入るとどうなるのか、油脂が入ることでこんなに違うのか、グルテンは伸びたり縮んだりおもしろい、というような経験が子供にもたらすものは大きいことでしょう。配合のアイデアも出てきて、創造力のある子供が育つのだそうです。

フランスの子供たちは、味覚の一週間の授業によって国語の力、すなわち表現力や想像力が伸びたと言います。藤野さんによれば、今年の味覚の一週間ではのべ300~400名の子供たちがボランティアのシェフたちによる味覚の授業を受けることになっているそうです。来年はもっとこの数が伸びるに違いありません。

味覚の一週間オフィシャルサイト


  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます