プラットフォームというPlayStationのDNA
PSVitaがはばたく時、PlayStationのDNAが何であったかが試されるのかもしれません。(イラスト 橋本モチチ)
元々は目的があって、プラットフォームを作っていたのが、プラットフォームという型が残って、それがSCEというハードメーカーのスタイルになったとすれば、PSVitaというハードのあり方は納得がいきます。SCEが発表会などで、PlayStationのDNAという言葉を使うことがありますが、プラットフォームであるというのは、DNAと呼ぶにふさわしいPlayStationの特徴かもしれません。
冒頭の「へー、で、Vitaって何が面白いの?」という質問、結局ガイドは答えを返す前に相手にまず、好きなゲームと、どこが面白かったかを聞くことにしています。そしてそれが、例えばマルチプレイが楽しいアクションゲームなら、PS3が無い人もオンライン接続して、夜でも一緒に遊べるようになるかもしれないよ、とか、洋ゲーが好きな人なら、携帯機でもFPSが楽しめるようになるかもしれなくて、ジャイロを使った照準はすごく快適なんだよ、とか、RPGが好きな人なら、電車で遊んでるとnearで色んな人とアイテム交換ができたりするかもね、というような答え方をすることにしています。
おそらくPSVitaの発売時には、新しいハードに触りたいガジェット好きなユーザーや、PlayStationのコアなファンが集まって消化されていくでしょう。その後、PSVitaが順調に売れていくためにはプラットフォームとして色んなゲームが集まり、それらの中からPSVitaらしさを表現する必要があります。何か1つ、強烈な魅力が見つかった時、多くの機能は付加価値として意味を持ち、プラットフォームとして機能しだすことになります。そして逆に、その魅力が見つけ出せない間は、色々できるけど中途半端な印象に陥るリスクもあります。
そういう意味で、PSVitaが軌道に乗るにはそれなりに時間がかかるかもしれません。しかし、PSPも、PS3も、時間をかけてプラットフォームとして成熟してきました。
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たくさんある武器の中から、PSVitaという存在をまとめ上げる何かを見つけることができるのか。メディア戦略といったゲームとは別の思惑から解放された純粋なエンターテイメントマシンが、そのスタイルを貫いてプラットフォームを作り上げていくことができるのか。PlayStationのDNAとは何だったのかが問われるハードになるのかもしれません。
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