ハウスメーカー・工務店/住宅メーカー・ハウスメーカー比較[価格]

住宅価格の「後出しジャンケン」について(2ページ目)

住宅建築や購入には様々な不安や疑問が付き物です。中でもお金に関する問題は最大の関心事です。そうした不安を助長しかねないのが「住宅価格の後出しジャンケン」。このことについて知っておくと、住宅価格についての心構えが何となくわかります。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

私は住宅展示場などでお話をさせていただくことがあります。そこには、実は既に契約していたり契約直前という方がよくいらっしゃいます。そしてその相談内容の多くが(契約、もしくはこれから契約する)価格に関わるものなのです。

同じ建物をもっと安く建てられる?

その中でも内容は様々なのですが、ある時、次のようなご相談を受けました。そのご相談者はあるハウスメーカーと契約直前。内容は「知り合いの工務店関係者に話を聞いたら、同じ建物をもっと安く建てられると聞いた。これは本当なのか?」というものでした。

展示場

展示場では呉越同舟のハウスメーカーだが、住宅市場では競合することが多い。それぞれがそれぞれの出方を伺い、激しい契約獲得競争が繰り広げられている

これが「住宅価格の後出しジャンケン」の典型例。ハウスメーカーが工務店となったり、工務店がハウスメーカーになったりとケースは様々ありますが、要は新たな業者の意見を聞いて、商談中の依頼先のことが信用できなくなってしまうというものです。

でこのケース、私の見解は次のようになります。まず「同じ建物」は建てられないということです。例えば外壁材一つとっても、ハウスメーカーが建てる建物はそれぞれに独自のノウハウが詰め込まれており、他のハウスメーカーはもちろん、工務店ではまず無理です。

おそらく「同じ」というのは外観や内装、間取りのことをいうのでしょうが、それはいわゆる模倣というやつ。似たような廉価な素材を使えば、建築コストが安くすむのは当然のことです。同じように見えて、実は性能や品質が大きく異なっていることが多いのです。

また、それにそれぞれの提案を行うには、それなりのコストがかかっているわけです。例えば設計するのにも当然コストがかかります。それを幾度も修正する必要がありますし、その際も同様です。そのために何度も施主宅に行くための手間賃なども掛かりますし、それを維持するために人件費やら何やらの経費も掛かるはずです。

オール・オア・ナッシングの住宅営業の世界

「後出しジャンケン」という行為がまずいのは、そうした見えづらいコストを度外視するからです。建物価格だけで考えるなら、安くなるのは当然で簡単なこと。しかし、出来上がる建物の性能や品質は大きく異なることがありますますから注意が必要なのです。

営業とお客さん

良い住まいづくりを行うには、良い人との出会いが大切。会社の取り組みや提案内容はもちろん、人柄なども含めて検討材料としたい

住宅営業の世界は「オール・オア・ナッシング」の世界。契約できるのとできないのでは大きく成果が異なってしまいます。ですから「後出しジャンケン」がはびこることになってしまうのですが、私はあまり感心しません。

中でも複数のハウスメーカーで見積もり合戦になった場合、このようなケースがよく発生しているようです。ハウスメーカー同士は、様々な場面で競合していることが多く、そのため相手の出方をよく知っていることが背景にあります。

実社会と同様に住宅の世界にも様々な人たちがいます。必ずしも経験豊かで提案力に富む人ばかりではありません。「後出しジャンケン」に戸惑うのではなく、皆さんには彼らの提案内容や人柄、さらには会社の取り組みなど様々な視点から判断し、賢明な決断をしていただきたいと思います。

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