前回の記事「質の良い中古住宅を手に入れるには」では、これからの住まい選びにおいて、中古(ストック)住宅が有力な選択肢の一つになりそうという旨、さらにその背景などについて説明しました。今回の記事では、さらに一歩進んで「中古住宅を購入した上で自分らしくリフォーム(リノベーション)して暮らす」という選択肢について、最近、私が取材したある取り組みも紹介しながら考えてみたいと思います。結論から申し上げると、結構難易度が高い住まい選びのスタイルだと思います。

立ちはだかる大きな二つのハードル

私が仕事でお付き合いしている住宅雑誌の編集長の話では、「最近は新築雑誌よりもリフォーム雑誌の方が売れ行きが良い」そうです。この話から、現在では持ち家か中古住宅かは別としてリフォーム、あるいは大規模なリフォーム「リノベーション」をして暮らすというスタイルが一般的になってきたことがうかがえます。

売却物件

千葉県内のある分譲住宅地の様子。敷地が広く緑の多い良好な住環境だが、中には築20年程度で空き家になった物件もある。若い子育て世代に住み継がれるようであればいいのだが…(クリックすると拡大します)

加えて、中古住宅を購入後、リフォームやリノベーションをして暮らすという「スタイルも増えてきているようです。一般社団法人・住宅リフォーム推進協議会がまとめた「平成26年度(2014年度)住宅リフォーム実例調査報告書」によると、中古住宅購入者は入居後1年未満の間に戸建て住宅で45.8%、マンションでも50.9%が何らかのリフォームを行っている、とのことです。

この調査は若い世代に限った話ではありませんが、これらの話を総合すると、おそらくというか確実に、若い世代には中古住宅を購入し、何らかのリフォームをして生活するというスタイルが、住まい選びの選択肢として定着しようとしているのだと考えられます。

とはいえ、この住まい選びのスタイルが簡単なのかというと、決してそうではありません。大きく二つのハードルがあります。一つ目は中古住宅そのものの信頼性が不透明であり、二つ目はリフォーム事業者についても同様であることです。

まず中古住宅ですが、ハッキリいって玉石混淆(ぎょくせきこんこう)の状況です。築年数や劣化の具合など様々であり一概に善し悪しを言えません。単純な話をすると、例えば一見、新しいように見える建物でも何らかのダメージを負っていたり、逆に築後100年経過してる建物でも、今後100年単位で暮らせるほどしっかりしているものもあります。

その中で「玉」、要するに良質な中古住宅を見分けるのは、一般的な消費者には難しいことです。販売するのは不動産会社であることが普通ですが、彼らは建物の状態を必ずしも正しく把握し、私たちにそれを正しく伝えてくれるとは限りません。

難易度最高ランクの住まい選びスタイル

一方、リフォームについても事業者が多種多様。設備工事のかたわらでリフォームをしている会社もあれば、高度な技術や提案力を有する事業者もいます。真っ当な事業者もいれば、中には「悪徳」といわれる事業者もいないわけではありません。

フレーム・ヘーベル外観

旭化成リフォームによる「フレーム・ヘーベルハウス」(千葉県流山市)の外観。外壁の再塗装と外構を新しくしていることで、築21年には見えない(旭化成ホームズ提供、クリックすると拡大します)

「不動産会社が紹介してくれるんじゃないの」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうとも限りません。不動産会社には通常、設備や内装などのリフォームをする事業者とは付き合いがありますが、リノベーションにまで対応する事業者とのコネクションがあるわけではありません。

ですから、「みんなやっているから」とか「住宅取得費用が割安だから」などと、安易な気持ちで中古住宅を購入して、リフォームするという選択をすべきではないのです。正直なところ、このスタイルは本来、住宅取得の上級者でないとトライすべきではない、というくらいハイレベルなものなのです。

さて、そうした状況の中、大手ハウスメーカーなどでは自分たちがこれまでに建ててきた住宅をオーナーから買い取り、リノベーションした上で再販売するという事例がみられるようになってきました。

自分たちが建てたもので定期的に点検し、さらにリノベーション時に劣化の具合も確認するため、中古住宅としての信頼性を確保でき、さらに工事も責任を持って行うため、一般的な中古住宅&リフォームのスタイルよりは信頼感がある、というのがウリです。

グループの不動産会社が売り主になりますから建物の状況もよく理解、把握しているという特徴もあります。このようにこの分野でも近年は様々な取り組みが始まっています。では、次のページで私が先日見学してきた新たなスタイルの中古住宅について紹介します。