問題に嘆かず、できることを積極的に考えよう
考えて見れば現代は「ネット一つ」で新たな縁とつながれる時代
たとえば、単身者にとって老いと死の問題はかならず直面する課題です。それなら、元気なうちから単身者が利用できる地域のサポートサービスや介護、医療、葬儀等の情報を集めておくことが必要になるでしょう。有事のときには安心して支え合える人間関係を築いておき、いつでも連絡できるつながり先、サービス、介護の情報、死後の準備を前もって考えておくことも求められるはずです。
地域の因習を嫌い、関わりを避けてきた人には、災害等の有事の際に、身近な援者を見つけにくいという課題があります。したがって、日ごろから地域の「利点」にも目を向け、新たな関係づくりへの努力をすることが課題になります。自治会活動やサークル活動に抵抗があるなら、まずは最低限、住居の大家さん、管理人とだけでもコミュニケーションを築く、いざというときのために自治会事務局の連絡先を控える、地域に常連の店(日用雑貨屋、喫茶店、飲み屋、スポーツ店など)をつくることでも、地域との重要なつながりの構築になると思います。
また、会社組織に所属していない人には、同業者や同じ労働形態の人が悩みを相談できる組合があります(インターネットから申し込みできます)。さらに、失業、生活苦、身寄りのなさなど多様な問題が複合して孤立感を深めている場合には、まずは地域の社会福祉協議会に連絡してみることです。
窓口では事情を受け止めて総合的に相談に乗ってもらえますし、必要に応じて個々の問題の専門的な機関を紹介してもらうこともできます。それにも抵抗があるなら、悩み相談の電話窓口がさまざまな機関で開かれています(インターネットの「電話相談」で検索してみてください)。
ちなみに、急激な少子高齢化社会が進む中で、単身生活者、単身高齢者は激増していく傾向にあります。単身者の安全を確認し、サポートする公的サービスやビジネス、単身者同士がつながり、情報交換する場へのニーズは、今後ますます高まっていくでしょう。
見つけるべき社会資源、つくるべき社会資源
身近な社会資源に気づき、改良し、ないものはつくっていこう
社会資源とは公的サービスだけでなく、友人、家族、地域の人、店やグループ、さまざまな消費サービス、趣味など、身近にあるどんなものでも対象になります。さらに、社会資源を発掘し、つながれる自分の能力もまた、立派な「内的資源」なのです。
私たちは、生きているだけで既にたくさんの社会資源とつながっており、求めればさらに多くの社会資源に出会えます。さらに、一度あきらめたイエ、ムラ、カイシャの縁もよりよく変えていくことができるはずなのです。旧来の縁とつながれないという現象面だけを捉えて、「無縁社会」「孤族」という言葉だけが独り歩きしてしまうと、問題の本質が見えなくなってしまいます。
むしろ、私たちはすでにある社会資源を強化しよう、新たな社会資源を貪欲に探そう、まだない社会資源はつくっていこう、という積極的な発想を持って生きるべきなのではないでしょうか。そうした姿勢を持てば、人がみな自分らしく、自由に自分らしい人生を生きていける社会が実現できるのではないかと思います。