東京とマンハッタンの違い
森ビルは、東京、マンハッタン、上海の3つの都市を1,000分の一の縮尺にしたジオラマに再現している。この模型は「六本木ヒルズ」竣工当初、森タワーの展望フロアの美術館で一般公開されたが、あの当時にくらべると東京は湾岸エリアも加わり、さらに大きく広がった。土地の高低を再現した土台に、実際の建物を撮影し、トリミングや水平垂直ラインの修正を施したうえでミニチュアの建物に貼り付け設置する。想像を絶するような手の込んだ工程のもとで仕上がるこの模型は、都がオリンピックの招致活動の際に貸し出しを頼むほど「トウキョウ」の理解促進に役立つ。
それにしても、こうしてあらためて俯瞰してみてみると、東京はマンハッタンにくらべ建物の高さにメリハリのないのがよくわかる。よくいえば機能がよど良く分散しているのであろうし、逆をいえば効率が悪い都市だということになるのだろう。
職住近接が生み出す経済効果
ちなみに東京23区とニューヨーク市の夜間人口はおよそ810万人で同程度である。面積は23区が62,000haに対し、ニューヨークが83,300haだから人口密度はやや23区が高い。しかし、都心4区(港区、千代田区、中央区、新宿区)とマンハッタンでくらべてみると、面積は6,000haでほぼ同じだが、夜間人口が都心4区の50万人に対し、マンハッタンは150万人。なんと3倍ものひらきがある。昼間人口はどちらも330万人だから、いかに東京の都心部で働く人たちは通勤に時間をとられているのかがわかる。
閑散とした都心の夜に人が増えれば、通勤効率の改善にとどまらず、経済の活性化にもつながるだろう。浮いた時間は娯楽や自己啓発のために使われ、豊かな時間は新たなニーズとなって市場を生み出すだろう。