相手を傷つけずに問題解決することは可能? 

パソコンを見ているカップル

「これを言ったら気まずくなるかな?」そしていつも我慢していませんか?

本当は困っているんだけど、本音を言ったら角が立つかも……。言いたいことを我慢してストレスを溜め込むのは嫌でも、そんな迷いから、つい主張を引っ込めてしまうこと、誰にでもありますよね。それでうまく回ることもありますが、後になって問題が起こり、「あのとき言ってくれればよかったのに」なんて言われて、さらにストレスを感じてしまうこともあります。

最初から相手を傷つけず場の雰囲気を壊さずに、上手く主張できていたら万事はうまくいったはず。そんな困ったときの会話のコツとして、誰でも実践しやすいコミュニケーション方法があるのです。

そのコミュニケーション法とは、自己主張法「アサーション」の一手法である「DESC法」。D:Describe(描写する)、E:Express(表現する)、S:Specify(特定の提案をする)、C:Choose(選ぶ)の4つの要素を統合した話法です。

やっかいな「役職選出」もスマートに決められる 

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イヤイヤ引き受けて過労にならないよう上手な提案をしよう

例を出しましょう。

たとえば、あなたが前年度の地域保護者会の会長をしていたとします。次年度の会長を決めたいのに立候補がなく、また推薦された人たちも「忙しいから無理」と言って、誰も受けてくれません。もう1時間も話し合っているのに決まらず、結局「次年度も引き受けてほしい」と言われてしまいました。

公平に決めるには「くじ引き」もできますが、それでは適任でない人が会長に決まってしまう可能性もあり、できれば避けたいところです。とはいえ、自分が続けて会長をやるのは負担が大きすぎます。こんなとき、どのように交渉していけばいいでしょうか?

「次年度のことは知らない」とはねつけることもできますが、これではあまりにもさびしい終わり方です。かといって引き受けてしまうと、また1年間重責に追われてしまいます。

こんなときこそ、DESC法を使って話し合いを進めてみましょう。実際に交渉方法を展開してみます。

(1)D:Describe(描写する)――客観的に描写する
例:
「次に会長の立候補がなく、推薦された方もお引き受けいただけない状況ですね。もうこうして1時間も話しあっていますが、なかなか決まりませんね」

このように、今の状況を皆が共有できるように、客観的、具体的に描写します。

(2)E:Express(表現する)――状況に対する自分の主観的な考えを表現する
例:
「くじ引きで公平に決めることもできますが、適当に会長を決めてしまうと、うまくいかなくなったときが心配です」
「私を引き続き会長にと言ってくださるのはうれしいですが、1年間しっかり務めてきたつもりですし、ぜひ次年度の方にノウハウを引き継ぎたいのです」

このように、今の状況に対する自分の思いを冷静に伝えます。

(3)S:Specify(特定の提案をする)―― 一つの建設的な提案をする
例:
「私も、前会長として全面的にバックアップさせていただきたいと思います。新会長1人に負担を負わせることはありませんので、ぜひもう一度立候補を検討していただけないでしょうか?」

このように、今の状況の中で一つの実現の可能性の高い提案をします。

(4)C:Choose(選ぶ)―― 他の建設的な選択肢を示す
例:
「もしくは、推薦された方々に集まっていただき、少し交渉の時間を持たせていただいてもよろしいでしょうか?」

このように、選択肢を広げ、幅を広げて検討できるようにします。

「選択肢を増やせる」ことがDESC法の利点

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選択肢を示せば相手も検討しやすくなる

このDESC法のよいところは、現実的な譲歩案や妥協案を示し、さらに他にも選択肢を示して、相手に再検討させる余地を与えているところです。

ただ「自分は~したいんです」「~できないと困るんです」と自己主張をするだけでは、現実的な解決には結びつかないもの。それどころか、状況が好ましくない方向に動いてしまうことも少なくありません。

そんなときこそ、「DESC法」が有効。たとえば自分が一つ譲る代わりに、周囲にも一つ譲歩を求めて複数案を検討してもらえば、話し合いは合理的な解決に向かいます。これなら場の雰囲気も壊さず、誰か一人だけが貧乏くじを引いたような気持ちにならず、みんなが納得して合意できるのではないでしょうか。

ビジネスでも家庭でも、あらゆる場面で使えるDESC法 

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1人が負担を抱えないよう、家族もDESC法で話し合いを

このDESC法は、あらゆる場面に応用することができます。

たとえば、ビジネスシーン。「デキる人には仕事が集まる」とは言われるものの、仕事が増え過ぎて困るなら、上司に自分と職場の状況について説明し、「では、締め切りを延ばしてほしい」、「もしくはこの案件は外部に発注できないか」というように、選択肢を広げて提案してみてはどうでしょう。

もちろん、家庭でも使えます。たとえば、長女である自分ばかりが“きょうだい代表”として親戚づきあいをしなければならない状況なら、他のきょうだいに今の状況をよく説明し、「せめて3回に1回は誰かが出てくれる?」「それが無理なら、年に1回は○○の用事を引き受けてくれる?」というように、提案してみるのもいいでしょう。

このように、選択肢が増えれば相手も前向きに検討でき、具体的な解決に近づいていくのではないでしょうか。ぜひ、一度身近なシーンで試してみてください。

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