本物のドラァグ・ショーがたっぷり味わえます!
何と言ってもゲイ的にウレシイのは、ナジャさん十八番の『And I'm Telling You(I'm Not Going)』(『ドリームガールズ』でジェニファー・ハドソンが熱唱していた歌)、ドロシー&ナジャ&フォクシーさんによるスリー・ディグリーズの『Everybody Gets To Go To The Moon』(通称「MOON」。きっと聞いたことがあると思います)など、二丁目や堂山や栄のゲイナイトで繰り広げられている本物のドラァグ・ショーがふんだんに盛り込まれているところです。BGMも『バーレスク』だったりして、随所にゲイテイストがちりばめられています。ノンケさんが演じているドラァグクイーンの衣装も、コシノジュンコさんが制作したものだったり、本物の方から借りたものだったり。ウィッグ(かつら)もレディ・ガガ風にビール缶を巻き付けたり、フルーツが山盛りに盛られていたり。「女性」ではなく「ドラァグクイーン」らしい過剰さ、ゴージャス感が出るように努力されていました。
TVによく出てくるゲイバーのママみたいな(中途半端なメイクで青ひげが浮いてるような、あからさまに嘲笑を誘うような)感じではなく、ニューハーフのような女性美の追求でもなく、ゲイテイスト以外の何者でもない、リアルなドラァグクイーンのパフォーマンスが、こうしたメジャーな商業演劇に登場するのは初めてではないでしょうか。それは、(これまでの世間の風潮に反し)ゲイカルチャーやゲイテイストをカッコいいものとして認め、賞揚することに他ならず、間違いなく快挙と言える出来事だと思います。
もちろん、劇の中でも「ドラァグとは裾を引きずるという意味。クスリじゃないの」とか「体はいじってません」というように、ドラァグクイーンとは何か?ということを伝えるセリフがちゃんと盛り込まれていました。(一部、ドラァグクイーンがふだんから女装していたり、女性ホルモンを打っていたり、「?」と思うような部分もありましたが…でも、おおむねきちんとリアルに表現されていました)