たくさんのクイーンたちが客席(中央出入口)から登場し、お客さん
を楽しませます
2009年、大阪の京橋花月(吉本新喜劇でおなじみの劇場)で、ナジャさんやフォクシーさんら本物のドラァグクイーンが登場する『Lipsynca~ヒールをはいたオトコ!?たち~』というお芝居が上演されました。ドラァグクイーンがおもてなしするカフェレストラン(大阪にある「do with cafe」がモデル)を舞台に、素人のノンケさんがドラァグクイーンのオーディションを受けにやってきて(でもみんな、微妙にカンチガイしている人ばかり)…というストーリー。
華やかなショーも笑いもあるバラエティに富んだドタバタ劇のなかに、マイノリティのリアルな現実を折り込んだコメディとして好評を博しました。一般の商業演劇の世界にドラァグクイーンが登場したということ、大阪のおじちゃんおばちゃんたちに本物のドラァグクイーン(ゲイカルチャーとしての女装)の魅力が伝えられたというところも画期的だったと思います(そもそもリップシンカというタイトルが、リップシンク=ドラァグクイーンの口パク芸に由来)
華麗なオープニング・ショー!
そんな『Lipsynca~ヒールをはいたオトコ!?たち~』の東京公演が、9月14日から新宿でスタートしました。前回は主演に彦摩呂さんを迎え、脇をハイヒール・リンゴさん、テンダラーさん、桂三金さん、りあるキッズ・安田さん(ゲイであることをカミングアウトしています)といった吉本興業の人気芸人たちが固めましたが、今回はキャストをほぼ一新し、新たなキャラクターも増え、新生『Lipsynca』として公演されます。 主演の彦摩呂さんはそのままで、鈴木蘭々さん、Kimeruさん(『ミュージカル・テニスの王子様』など)、内藤大希さん、井深克彦さん、磯村洋祐さん(劇団EXILE)、三好絵里香さん(元美勇伝)、叶千香さん(元宝塚月組)、川原田樹さん(「NODA・MAP」)といったフレッシュな面々が個性的な役を演じます。さらに、ドラァグクイーンとして今もゲイシーンやバラエティ番組で活躍中のナジャ・グランディーヴァさん、そしてこの物語の舞台となった大阪のカフェレストラン「do with cafe」の女将であるドラァグクイーンのフォクシー・オーさんが華を添えます。
初日の幕が開く前、新宿の「シアターサンモール」で行われたゲネプロ(本番さながらのリハーサル)におじゃますることができました。レビューをお届けいたします。
あらすじ
『デズモンド・グレイ』の古参クイーンたち(ドロシー&ナジャ&フォクシー)による貫禄たっぷりのショー
新宿の裏通りにある店『デズモンド・グレイ』。 ここは日本で唯一、ドラァグクイーンが常駐するカフェレストラン。 オーナーの鈴木(彦摩呂)は最近の売上げの低さに頭を悩ませていた。オープン当初は物珍しさも手伝って、連日満員の大にぎわい。しかし、3周年パーティが近づくにしたがい、客足が落ちて行き、赤字の日もあるくらい。 そこで、起死回生をねらい、素人を募集してドラァグクイーンとして舞台に立たせることを考えた。しかし、応募してきたのは、リストラされたサラリーマン(Kimeru)、陰気な中年女(鈴木蘭々)、アイドルオタク(井深克彦)、中国人留学生(別紙慶一)という、ひとクセもふたクセもある面々。しかもみんな募集広告を微妙に勘違いしてやってきた者ばかり。ドロシー(川原田樹)、ナジャ、フォクシーら古参のドラァグクイーンたちも呆然となり、当然反対。勘違いしてやって来た面々もドラァグクイーンのことを知って帰ろうとするが、オーナーの説得で引きとめら、そこからポンコツ4人のドラァグクイーン修行が始まる。 しかし、そこに立ち退きを迫る不動産業者(叶千佳、磯村洋祐)が現われ…果たして『デズモンド・グレイ』の3周年パーティは無事に開催されるのか?