憧れの近江の仏像たち

湖北紅葉

滋賀県湖北地方の紅葉

「仏像を見るなら京都か奈良だろう」。さほど仏像に関心のない方は、そう思っておられるかも知れません。それはむろん間違いではないのですが、仏像ウォッチングを何年かやってみると、「そろそろ近江(滋賀県)の仏像も見に行かねば」という気持ちになってきます。もちろん、どこの県にも見るべき仏像はたくさんあるのですが、近江は特別です。

その理由は、ひとつには、滋賀県の歴史が相当に古く、琵琶湖周辺が渡来人たちの交通の要所であったため、仏教文化が津々浦々まで浸透しており、山間や田んぼの真ん中の小さな寺に、思わぬ傑作仏像が隠れているということです。しかし、それらの寺は、たいていが公共の交通機関では行きにくく、また、無住の寺や、住職さんがいらしたとしても普段は拝観を受け付けていないところも数多く、見に行きたくともなかなか行けないのが困りものです。
浮御堂

大津市内の人気観光地、浮御堂は、満月寺という寺の一部

困難を伴うからこそ行きたいと思うのは、仏像ウォッチャーも登山家も同じで、古くから、著名な文化人たちが、近江の仏像と寺めぐりをテーマとした本を書いてきました。たとえば井上靖さんは、「星と祭」という近江の観音めぐりの旅を物語化した小説を書いておられますし、白洲正子さんは「かくれ里」、「近江山河抄」などで、近江の山間の寺を巡るお話を書かれています。司馬遼太郎さんの「街道を行く」シリーズにも、近江の旅についての章がいくつかあります。どの方も、近江がどれほど魅力的かを力説なさっており、読んでいるうちに、自分も近江に行かねばと、自然に思うようになるのです。

しかし、われわれ一般人は、そうした文化人と違って、タクシーを駆使して山間の里を回るような経済力もないし、ふらりと小さな寺を訪ねて普段見られない仏像を見せていただけるような幸運に恵まれるわけでもありません。なかなかお会いできない近江の仏像を集めた展覧会をやってくれないものか。それは長年、仏像ファンの悲願でしたが、このほどついに実現の運びとなりました。
琵琶湖全景

比叡山から眺めた偉大なる琵琶湖


 三館連携特別展「神仏います近江」

仏像を含む近江の仏教文化は、ひじょうに奥深く、多岐に渡っています。しかし、これまでそれをまとめた展覧会が行われにくかったのは、そこまで大きな博物館がない、というのが理由のひとつでした。そのため、今回の展覧会は、県内の3つの博物館、美術館が、それぞれのテーマで展示を行い、3つ見ることによって、近江の仏教文化の歴史を綜合的に知ることができるという壮大なものとなります。

展覧会全体のホームページ

施設によって内容が違いますし、会期も少し違うので、その点に注意して、旅の予定を組んでください。

●【信楽会場】MIHO MUSEUM
滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
電話:0748-82-3411
2011年(平成23年)9月3日(土)~12月11日(日)
「天台仏教への道-永遠の釈迦を求めて-」
月曜日休館(祝日の場合は開館し、翌平日休館)

●【瀬田会場】滋賀県立近代美術館 企画展示室
滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1
電話:077-543-2111
2011年(平成23年)9月17日(土)~11月20日(日)
「祈りの国、近江の仏像-古代から中世へ-」
月曜日休館(祝日の場合は開館し、翌平日休館)

●【大津会場】大津市歴史博物館
滋賀県大津市御陵町2-2 〒520-0037
電話;077-521-2100
2011年(平成23年)10月8日(土)~11月23日(水・祝)
「日吉の神と祭」
月曜日休館(祝日の場合は開館し、翌日休館)・祝日の翌日(土・日を除く)休館

以下、もう少し詳しく、各館の展覧会についてご説明いたします。
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