フレンチ/東京のビストロ

【閉店】オー・シャ・キ・ペシェ(広尾)(2ページ目)

【閉店】広尾駅交差点すぐ近く、サンクスの2階にある「釣りをする猫」。なんともいえないユニークな店名のビストロの魅力はなんと言っても肉料理にある。素材を旨みがさらに旨くなる見事な肉料理だ。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

肉料理を楽しもう

アペリティフのシャンパーニュから始まるディナーの前菜はやや低めの温度でローストされた鴨胸肉のローストにコンソメジュレを添えたもの。夏のジメジメ感を吸い取ってくれる爽やかな一皿だが、バルサミコをほのかに効かせた鴨肉が抜群に印象に残る。あっと驚く料理ではないが、冷たいコンソメのジュレがふんわりと鴨肉に絡み、キレのいいシャンパーニュの味わいと共に味覚は覚醒の坂を上り始める。
広尾

コンソメジュレの余韻がとても心地良い

メインは羊の背肉のローストを。「絶妙の火入れ加減で……」などと今や誰でも書けそうな言葉を使うとこの料理に対して失礼かもしれない。今や絶妙な火加減は温度調節が可能な調理器具を間違えなければ高い確率で実現できるのである。

素材の掃除を経て、的確な塩振り、温度管理、そしてロースト。ややレア加減の直前で止めて、あとは余熱でしばしの休憩。そして出し汁から作られたソースにローズマリーの風味を加えられた一皿は一つひとつの調理プロセスにおいていかに丁寧に取り組まれた成果であるかがわかる。およそ5000円程度のコース料理に組み込まれたものとは思えない質感ともいえる。
広尾

羊背肉のロースト

高級素材ではない羊肉を料理人の手をかけて、「料理」に仕上げる。これは素材を活かすというこれまたありきたりな表現ではなく、素材を素材以上に美味しくする「とびっきりのビストロ料理」と言いたい。

デザートはひとつに絞り込めず、3種類全部いただく。3つしかないデザートではあるが、特徴がはっきり打ち出されたどれも誰かに自慢したくなるものばかり。

注文したワインは大好きなシャンボール・ミュジニイ。やや固めながら、時間とともに開くのを待っていたが、このワインだけは頑固だった。しかし、満腹のお腹の中で開いてくれたのか、その後の酔い加減はとても心地良かったことが今もゆるゆると記憶の中で生きている。
ワイン

ブルゴーニュで最も美しい村のワインを

有名店出身とか、フランスで修行したとか、そんなことは小さな小さな情報でしかない。大切なことは皿の上の料理に力があるかどうか。

オー・シャ・キ・ペシェの料理、一度真摯に向き合う価値のある料理である。

お一人様向けのカウンターがあるのも嬉しい。

オー・シャ・キ・ペシェ(広尾)
東京都港区南麻布5-15-20 南麻布フラワーマンション2F
地下鉄日比谷線広尾駅 1番出口 徒歩1分
みずほ銀行となりサンクスの2階
地図
電話番号:03-6408-5400
営業時間
火~金18:00~23:00(L.O.21:30)
土11:30~15:00(L.O.14:00)
18:00~23:00(L.O.21:30)
日11:30~15:00(L.O.14:00)
祝日18:00~23:00(L.O.21:30)
夜のコースは3500円~
月休
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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