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100円カレーに感じる歴史の重み。 緊急レポート!日比谷松本楼

9月25日は毎年恒例の100円カレーの日。今年は創業100周年ということで先着1500名様に100円でカレーが用意された。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

2005年に愛知県で開催される21世紀はじめての万博 愛・地球博の仕事をしている友人から誘いを受け、初めて日比谷松本楼に足を運んだ。

そう、今日は日比谷松本楼の創業100周年記念のイベントであるチャリティカレーセールの日である。巷では有名なこのイベント、今年で31回目というのだから驚きである。

通常年は10円なのだが、今年は100周年ということで100円。だがお土産が付くので今年の方がお得感がある。いずれにせよ、これはチャリティイベント。社長の懐の深さを感じる由緒正しいイベントだ。その代金は公園維持やユニセフなどに寄付され、社会にしっかり還元さている。

実際には私もチャリティとか社会貢献といってもなかなか実感できないのだが、入口で一人一人のお客様に低姿勢で挨拶をされる姿には昔ながらの商売の原点を垣間見ることができる気がする。

さて、この松本楼は洋食屋さんのイメージだったが、れっきとしたフレンチレストランであることをまず申し述べておきたい。
戦争や火事を乗り越え、100年前より洋食の文化を日本に広め、現在も目新しさはないものの、洋食、そしてフレンチを愛する大人、企業人にしっかり根付く松本楼。長く育まれた歴史の重みは揺らぐことはない。

昨日の5時より並ぶお客様が出るほどの人気であるが、そのカレーはご覧の通り甘く奥行きを感じる味わい深いものだ。正直あまり期待はしてはいなかったのだが、クオリティの高いひき肉とまろやかなルーとその香りに否応なく引き込まれていく。

ありきたりの表現で物足りないかもしれないが、正直って非常にうまい。

これは子供の頃毎日でも食べた懐かしい味とは、実は違うような気がするのだ。

まず仕込みにかける日にちと時間は半端ではない。30人の調理スタッフが下準備に2日、煮込みに4日、最後の一日は寝かして味を落ち着かせる。

イベントは1日、それも数時間で終わるが準備は一週間も費やされている。


3階にボア・ド・ブローニュというスペースがあり、そこではトラディショナルなフレンチが楽しめる。しかし、これまでこのサイトで取り上げた比較的新しいレストランとは大きく異なる。

メニューは「エスカルゴのブルゴーニュ風」「オニオングラタンスープ」「舌平目の蟹肉のムース包みジョワンヴィル風」「仔羊瀬肉のロースト、フォアグラとトマト飾り」 といった昔ながらの料理が並ぶ。

お洒落でハイセンスなレストランばかりがフレンチではないとも言える。こうした「歴史」を感じさせる伝統的なフレンチが都会のど真ん中、それも公園の中で楽しめるとは日本の食文化もなかなか捨てたものではない。


私もしっかりとカレーをいただいていて帰りかける頃、社長が一人ゆっくりとカレーを楽しんでいる姿が。それは最高にかっこいい、男の風景であった。

日比谷松本楼、単に歴史だけではなさそうである。

日比谷松本楼
千代田区日比谷公園1-2
03-3503-1451
3階 フランス料理 ボア・ド・ブローニュ
ランチタイム AM11:00~PM2:00 レディスランチ PM1:30~
ティータイム PM2:00~PM5:00
ディナータイム PM5:00~ラストオーダーPM9:00
日曜・祝日 5:00~ラストオーダーPM8:00
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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