スポーツ外傷とスポーツ障害

練習風景

練習量が増える時期にケガが起こりやすい

スポーツにまつわるケガは、大きく2つに分けて考えることができます。一つは1回の外力で突然ケガをしてしまう「スポーツ外傷」と呼ばれるもの。もう一つは運動による小さな外力や疲労などが積み重なったことで起こる「スポーツ障害」と呼ばれるものです。

スポーツ外傷はその場ですぐわかるため、応急処置等ケガへの対応をしやすいですが、スポーツ障害というのは日々の繰り返しで少しずつ発生する慢性的なケガであり、気づいたら痛みがひどくなっていた……ということにもなりかねません。スポーツ障害に対しても、痛みなどに気づいたらなるべく早く対応することが必要なのです。

練習量の増える時期はスポーツ障害に注意!

スポーツ障害は繰り返しによる慢性的なストレスが原因となるため、使い過ぎ症候群(オーバーユース症候群)とも呼ばれます。スポーツ障害はすぐに発生するわけではなく、時間の経過とともに痛みや違和感などを伴い、そこで初めて気がつくことが多いものです。

入部したての新入生がチーム練習に合流し、数カ月たった5月~初夏にかけてはスポーツ障害の発生が多くなると言われています。また夏休みや冬休みなどの期間も練習量が増えるため、注意が必要です。

スポーツをする前に知っておきたい成長期の体

バスケットボール

成長期の身体は骨に痛みが発症しやすい

中高生は成長期で、身長などが大きく伸びる時期でもあります。身長が伸びるということは骨が縦方向に伸びるということですが、骨についている筋肉や腱は、骨に比べて成長がゆるやかなため、骨の成長スピードに追いつくことができずに、常に引っ張られた状態になってしまいます。

そこへ運動を繰り返し行い、疲労がたまってしまうと、筋肉や腱はさらに柔軟性を失ってしまい、牽引ストレスで痛みが発生してしまうのです。

特に中学生などに対して「ウエイトトレーニングを行うと身長が伸びない」ということを指摘する声もありますが、これは骨の成長に対して筋肉や腱がついていけずに痛みが発生することを理由にしているものだと考えられます。この時期の中高生に対しては筋肉や腱の成長に合わせた適切なトレーニングを行う必要があります。

成長期に多いスポーツ障害

中高生のスポーツ障害は、主に下肢に多くみられます。下肢に多くみられる理由としては体重が下肢にかかり、骨や関節へ負担がかかるためです。上肢にもスポーツ障害はみられますが、頻度は下肢に比べると少なめです。よくみられる成長期のスポーツ障害について解説します。

■ オスグッド病(脛骨粗面)
身長が著しく伸びる小学校高学年から中学、高校にかけての時期によく見られるスポーツ障害。太ももの骨の成長に筋肉や腱の成長が追いつかないため、膝下部分が常に筋肉や腱で引っ張られた緊張状態を作り出し、激しい動作や膝の曲げ伸ばしなどを繰り返すと痛みや腫れが起こります。この状態が長く続くと膝下にポコッと腫れたもの(骨の隆起)が起こることがあります。女子よりも男子により多く見られるケガです。

■ ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)
ジャンプを繰り返すスポーツ選手や長距離走などの選手によく見られるスポーツ障害です。膝のお皿付近もしくはお皿の下あたりの靱帯が、繰り返しのジャンプ動作や太もも部分の筋肉疲労などによって炎症を起こし、痛みや腫れなどが起こります。ランニングでは通常体重の2~3倍の力が膝付近にかかるのですが、その重さを筋肉や靱帯が支えきれないことによって起こります。

■ シンスプリント
ランニングや練習量が増えると足の脛(すね)の内側あたりに痛みを伴うスポーツ障害です。押すと痛みが出るのが特徴的で、この状態のまま練習を続けていると疲労骨折になる可能性があるので注意が必要です。筋肉が疲労し、柔軟性が低下することによって、骨を覆っている骨膜が常に引っ張られた状態となって炎症を起こすと考えられています。

スポーツ障害予防に有効なストレッチ

大腿四頭筋のストレッチ

大腿四頭筋のストレッチは膝周辺の痛みに有効

これらのスポーツ障害を予防するためには、普段からのストレッチやアイシングなどのケアが大切。特に膝周辺部のケガには大腿四頭筋と呼ばれる太ももの前の筋肉をストレッチすることが有効です。

大腿四頭筋のストレッチは横向きになり、上にある足を同じ側の手で保持したまま、ゆっくりと後方に引っ張るようにしましょう。太ももの前側が伸びているのを意識しながら20~30秒その姿勢をキープし、また元に戻します。左右とも3~5回程度行うようにしましょう。

また普段から自分の柔軟性をチェックし、ストレッチを習慣化することもケガ予防にとっては必要不可欠です。詳細は「身体が柔らかいとこんなに得をする!柔軟性チェック」などを参考に行ってみてください。中高生の身体の仕組みを理解し、練習量や疲労などに注意しながらケガを予防できるよう心がけてみてくださいね。