幻の「シーガルパッチ」バージョンの再現!
小さなカモメが3羽飛んでいます! これが1970年代の中盤には新旧のモデルを見分けるポイントで、今回はこの意匠も復刻させています。なお、かかとの上部にあるダブルステッチは、後述するナイロンオックッスフォードのみに見られる仕様です
三軒茶屋のセレクトストア・セプティズがこの度企画したトップサイダーのオックスフォードは、起源をアメリカ本国で1974年頃まで生産されていたものに求めています。それ以降の商品に比べ明らかに細身で、特に甲部がシャープな印象を有しており、足へのフィット感も断然優れていたためです。靴箱とかかとの下にあるブランドシール(「ヒールパッチ」。ダイレクトバルカナイズ製法で作られた靴底を固定する「フォクシングテープ」と呼ばれるゴムテープを補強する役割を果たします)が当時の新旧のモデルを見分けるポイント。
玉木さんによると、判っている人は勿論旧モデル、すなわち青ではなくて白の箱に入り、小さなカモメが飛ぶ「シーガルパッチ」の付いたものを必死に追い求めていたそうで、この辺りはドレスシューズの世界、例えばチャーチとかエドワードグリーンとかにも似たような話がありますよね。
前方から眺めてみると、この靴の緻密な仕立てが手に取るように解ります。革製のドレスシューズと見間違うかのようなトウシェイプと内振り具合! この種の靴にありがちな、甲部ののんべんだらりとした印象も皆無です
さらに、底部側面のフォクシングテープについても、お手本と同様に靴の中心部に寄るようタイトに巻き付けることで、視覚面でもより「オデコを狭く」見せるのに成功していて、「バナナシェイプ」と呼ばれた往年の風貌と履き心地を、見事に蘇らせているのです。特に白のものは、フォクシングテープ上部にある紺のラインのお蔭で、メリハリのある造形が一層際立ちます!
土踏まず部をアップで撮ってみました。抉りが深くて鋭いことがお解りいただけるでしょう。足を長時間しっかり支えます。アウトソールは波状の極小の切れ込みが無数に付いた、ヨットやボートでの使用が最適な言わずもがなのスペリーソールです
アッパーに使っている素材にも、実はカッコ良さの秘訣があります。詳しくは最後のページで!