企業のIT活用/システム導入方法

安定したシステム開発を作るユーザーレビューのコツ(2ページ目)

システム開発において重要なのがレビュー。バグが少なく安定したシステムを作るには、上流工程でユーザーレビューを確実に行い品質をつくり込むこと、また開発工程で作成者以外がレビューすることが重要。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド


ウォークスルーで思い込みを指摘してもらう

ウォークスルーはそばから冷静に見る岡目八目と同じ

ウォークスルーはそばから冷静に見る岡目八目と同じ

どんなに優秀な設計者であっても思い込みがあります。岡目八目という言葉があるように、そばから冷静に見る目が必要です。ウォークスルーを行うことで自分では気づかない、あるいは思い込んでしまっている点を他人から指摘してもらえます。

開発者が説明しているうちに自分自身で間違いに気がつくこともよくあります。自分で仕様書を説明することで自分自身でも再レビューすることになります。1人で作ると品質は個人レベルですが、ウォークスルーを通じてチームレベルまで引き上げられます。

ウォークスルーを行うことで、設計者にとっては良い心理的圧力がかかります。自分の書いた仕様書を他人が見るとしたら、皆が見て納得する仕様書を書かざるをえません。これはペアプログラミングを行うとペアレビューを行うことになりプログラムの品質がアップするのと同じです。
→ 蒲生氏郷の国替え 秘策ペアプログラミング

ウォークスルーが開発プロジェクト内で頻繁に行われると、互いがどんなプログラムや仕様を作っているか共有できるようになり、いざと言う時に助っ人で入ることも可能になります。

ウィークスルーでやってはいけないこと

ウォークスルーでは開発者への人格攻撃はご法度。機能漏れを発見しても「そんなことに気がつかいないの」という発言はやめましょう。ウォークスルーを通じて品質を上げる目的を皆で確認してから行いましょう。参加者にとっても他人の仕様書を読むことで気づきになります。つまり人のふり見て我がふり直せです。

開発プロジェクトでウォークスルーが行いやすい人間関係を構築しておく必要があります。また会社としてもウォークスルーを奨励しましょう。

モデレーターが行うインスペクション

インスペクションはモデレーターが運営する公式レビュー

インスペクションはモデレーターが運営する公式レビュー

インスペクションと呼ばれるレビューがあります。ウォークスルーとの大きな違いは開発者が運営するのではなくモデレータ(調整役)が運営します。公式レビューとなり集中して行うためウォークスルーと同様、30分から1時間程度で行います。

ウォークスルーでは指摘された項目をどうするかは開発者自身にまかされますが、インスペクションではフォーマルなエラーログとして記載します。修正についても追跡、記載します。モデレータはインスペクションで明らかになった技術者が犯しやすいエラーなどを蓄積し、チェックリストとして早目に開発者に伝えることでフィードバックします。

モデレータはインスペクションの準備、メンバーの選定、スケジュール調整、会議室の予約などを行います。基本的に開発メンバーから選定しますが、外部から応援を求めることもあります。例えば運用の意見を求める場合、運用担当者を招きます。

インスペクションを実施しているのは比較的、企業規模が大きなITベンダーです。モデレーターにはファシリテーション・スキルが求めら、会議で話の流れを整理、参加者の相互理解を促進し合意形成にもっていかなければなりません。アイスブレークなどを織りまぜながら、会議を進行できる技術を身につけなければなりません。

時間がない時はパスアラウンドというレビュー手法があります。開発者が成果物を電子メールなどで配布し、コメントやフィードバックをもらう手法です。

バグ発見をテストだけに頼るのではなく、様々なレビュー手法を有効活用して品質を高めていきましょう。
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