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「火災保険料を安くする方法」勘違いランキング

「災害」という究極のイザという時への備えとはいえ、火災保険料の負担はできる限り抑えたい、と感じている方が多いのではないでしょうか。ところが、火災保険料を安くする方法を勘違いしている人も少なくないようです。注意点やデメリットをお伝えします。

清水 香

執筆者:清水 香

火災保険の選び方ガイド

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第1位「保険料を安くしたいなら、保険金額を低くすればいい?」

建物の価値が保険金額とイコールになるように設定するのが基本

建物の価値が保険金額とイコールになるように設定するのが基本

火災保険の目的は、災害により建物などが被った損失分を「穴埋め」することです。そのため、建物などの最大の損害額を見積もり、それを保険金額として設定します。保険金額とは、事故が発生したときに、保険会社から受け取れる保険金の限度額です。受け取れる保険金は、いくらの損害を被ったかで決まり、受け取る金額を本人が決められる性格のものではありません。

契約時に設定する火災保険金額は、私たちが自由に決められるものではなく、建物の構造などから決まる現時点での「建物の価値」を、保険金額とイコールとして設定するのが基本ルールとなっています。火災保険上の「建物の価値」は、実際の不動産取引における市場価格とはまったく異なり、建物の構造と延べ床面積、築年数など一定の要素から損保会社および代理店により算出されるものです。

他の条件がまったく同じなら保険金額が低いほど保険料は安くなりますが、だからといって保険金額を低くすれば、失った建物を新たに入手するための保険金は受け取れず、また設定した保険金額が実態よりも一定率以上低ければ、受け取れる保険金が削減されることもあります。

実態よりも保険金額を低くしては、いざというとききちんと保険を役立てることができず、何のための保険なのか、わからなくなってしまいます。

一方で、家財の保険金額は、保険会社が提示する世帯主の年齢と家族構成に基づく家財金額を参考にしたり、わが家の実態をざっくりと把握したり、それに応じて自由に保険金額を決めてもかまいません。

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保険金額の設定方法 勘違いランキング
建物の火災保険金額はどう決める?
家財の火災保険金額はどう決める?
 

第2位「保険料を安くしたいなら、補償を削ればいい?」

確かに、火災保険の補償の手厚さと保険料は比例します。だからといって、保険料を安くする目的を優先するあまり、必要な補償まで削ってしまうようなことは避けなければなりません。

災害によるダメージは、家計に壊滅的なダメージを及ぼす可能性があります。「災害に遭わないよう」そして「遭っても最小限の被害で済むよう」な対策を打つことはもちろんですが、それでも起きてしまった時の経済的な対策として適切に保険に加入しておくことがとても大切になります。

わが家はどのような災害に遭うリスクが高いのか「ハザードマップ」などを用いて確認し、それを踏まえて火災保険でどのような補償をどの程度確保すべきなのか判断しましょう。このプロセスをたどり、例えば「マンションの高層階だから水災には遭わない」など、被災の可能性が薄い補償は削り、実情に合わせた適切な補償を確保するならば、安心を得られると同時に保険料の負担を抑えることができます。

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第3位「保険料が割引になるから、保険期間は長いほどいい?」

火災保険の契約は、原則として1年間から10年間までの間で、契約者が保険期間を選ぶことができます。2年以上の保険契約のことを「長期契約」といいますが、マイホームを購入するときに、不動産屋さんや銀行で住宅ローンとともに、長期の火災保険契約をする方が多いのではないでしょうか。

ただ、長期契約にはメリットとデメリットがあります。

まず、期間に応じた保険料の割引があるため、1年ごとに同じ内容の契約を更新していくより、トータルで見ると保険料が安くなる点はメリットです。長期契約とすることで、保険会社の事務コストが抑えられたり、契約時点の金利等が考慮されたりするので、保険料が割り引かれるのです。ただ、割引に用いられる係数は何度も改定されており、長期契約による割引のメリットは以前より薄くなっています。

一方、建物の価値は時間の経過による変化がつきものなので、火災保険契約を長年にわたりほったらかしにしておくと、イザという時に思うように役立たない可能性も大きくなるのが、長期契約のデメリット。長期契約を結ぶなら、保険金額が適正かどうか5年ごとぐらいにチェックが必要です。契約手続きは一度で済んでも、契約終了までメンテナンスが不要ということではないのです。

保険料の割引を享受しつつ、毎年の契約の手間を省き、実態との大きな乖離を防ぐなら、5年間ぐらいの保険期間が適当かもしれませんね。

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第4位「地震保険は安くならないから、省いていい?」

 地震保険料は法律に基づき算出され、都道府県別、建物構造別に保険料が設定されています。契約条件が同じなら、どの保険会社で契約しても保険料に差はありません。

ただし、4種類の割引制度があり、該当すれば最大50%、保険料が割り引かれます。割引を受けるには、契約時に建物の構造等を証明する一定の書類が必要になりますので、忘れずに添付しましょう。

なお、地震による損害は火災保険では補償されませんので、例え割引を受けられず地震保険料そのものは安くならなくても、むやみに地震保険を省くことはおすすめできません。地震保険は火災保険とセットで契約をすることになりますから、地震保険料だけで見るのではなく、火災保険と合わせてリスクへの対応、および負担する保険料を検討してみましょう。

火災保険といえば、様々な補償がセットされた商品が一般的ですが、どれも同じではありません。火災保険には火災だけでなく、風災や水害、盗難その他、様々な補償があり、補償の多さに比例して保険料は高くなります。種々の補償がたくさんセットされた商品もあれば、一方で補償をシンプルにできるものもありますが、地震補償を優先したい場合には、シンプルな火災保険を選ぶのが全体として保険料を抑えるコツとなります。

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負担を抑えて地震保険に入る方法

 

第5位「木造住宅はみな保険料が高く、割引もない?」

ツーバイフォー住宅でも保険料が安くなる場合が

ツーバイフォー住宅でも保険料が安くなる場合が

火災保険料は対象となる建物の住所地だけでなく、建物の構造により異なります。その構造を振り分けるのが建物の「構造級別」で、具体的には3区分。この構造級別を定める規定は、建築基準法に基づき作られています。

構造級別は建物の防火上の性能の高さで分けられ、性能の高いほうから「M構造」「T構造」「H構造」となり、最も保険料が安いM構造から順に私たちの負担する保険料は高くなります。防火性能の高い建物であればあるほど、火災その他の災害による被害を受けにくいため、それを反映して保険料が安くなっているのです。

一般に木造住宅はH構造となり保険料が最も高くなるのですが、ツーバイフォー工法(枠組壁工法)、木質系プレハブ等の建物および木造軸組工法の建物の一部で省令準耐火構造に該当するものはT構造と判定されるため、木造住宅であっても保険料は大幅に安くなります。

T構造の地震保険料はマンションすなわちM構造と同額なので地震保険料も大幅ダウン。一般の木造住宅の保険料のざっと半分ですから、長い目で見たコスト負担には大きな差が出てきます。

【お役立ちコンテンツ】
保険料が安くなる省令準耐火住宅

 

「火災保険料を安くしたい」と思った時の注意点とは?

・建物の火災保険金額は、建物の実際の価値に合わせて設定するのがルール。私たちが自由に決められるものではない
・補償内容の手厚さと保険料の高さは比例する。わが家に必要な補償の優先順位をつけよ
・長期の火災保険契約は5年ごとに保険金額の見直しを行うべし
・保険料は住所地、および建物構造等により異なる。割引制度もしっかり利用すべし

【関連リンク】
保険金額の設定方法 勘違いランキング
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負担を抑えて地震保険に入る方法

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