家具の形状は、全体の中で意図され、かつ楽しまなければならない
六角形の背、傾斜をもつ三本背受け、座と脚の接合部分に三角形サポート材、それらが幾何学的に構成されている。座と背は模様に則して革張りされ、人が座ったとき程良いクッション性を持っている。水平に保たれた座と座下の貫以外は全て傾斜がついており、緊張感と動きのある側面構成と比較的小振りなサイズ、正面からの姿はどこか人の身振りに似て、愛嬌がある。
ライトは常々『家具の形状は、全体の中で意図され、かつ楽しまなければならない』と発言していたという。トータルに計画した全体空間の中で違和感なくデザインされ、そして機能にだけではなく、表情・感情のある家具を提唱したのである。
浮世絵を愛し、日本文化からも影響を受けたライト。シカゴ時代から実践したプレイリースタイルに日本の工芸品や日本建築・建具の意匠などをブレンドし、さらなる独自のデザインを昇華させていく過程でデザインされた貴重な椅子なのである。
■帝国ホテル(1922年)
・デザイン :フランク・ロイド・ライト
・製造 :旭家具装飾
・所蔵 :(財)博物館明治村
・サイズ :W390 D420 H960 SH440
・素材 :ナラ材
『石川 尚の気になるデザイン』 ………………………………………………
■ 日本の傑作椅子・バックナンバー
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