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日本文化に感化。「ペリアンチェア」1953年

石川尚の【気になるデザイン】日本の傑作椅子 写真集シリーズ07 竹のしなり、折り紙、着物・・・日本の文化に影響されたフランス人ペリアン女史の「ペリアンチェア」とは?

石川 尚

執筆者:石川 尚

ファニチャーガイド

石川尚の「気になるデザイン」

『原点』こころのデザイン 日本の傑作椅子 写真集07




(引用:別冊商店建築78「日本の木の椅子」,p46,商店建築社発行)



この椅子は、フランスのデザイナー、Charlotte Perriand(シャルロット・ペリアン)女史によって1955年にデザインされた。
ペリアン女史は戦前(1927年=昭和2年)に世界的な建築家:ル・コレビジェ氏の事務所に入り、当時所員であった前川國男、板倉準三氏(ともに日本を代表する建築家)らが縁で、1940年に日本の商工省、工芸指導顧問として来日。
京都の河井寛次郎氏(工芸家・・・京都には当時のアトリエを一般の人が見ることができる河井寛次郎館がある)、輸出工芸振興会の柳宗理氏らと出会い、日本各地を視察して歩いた。
この時、日本の文化や工芸に非常に興味を持ったといわれている・・・・・中でも、“柔らかく、しなり”のある竹や繊細な竹細工は、後の彼女の作品に強い影響を与えた。

戦後(1955年)東京、大阪高島屋で開催した「コルビジェ・レジェ・ペリアン展」に再来日、この椅子を出品した。

わずか厚さ3mmの合板製、黒染色仕上げで(「オンブル=黒子」という名で)出品したこの椅子は、当時量産技術がなく構造的にも問題だった。椅子として充分な強度をもち、商品化されるまでにその後22年という月日を待つことになる。

この椅子の製産は積層合板ファニチャーで有名になった山形の天童木工である。
当時フランス人デザイナー:ペリアン女史が来日し、興味を抱いて日本の工芸を探索して回った土地と無縁ではなかったことはいうまでもない。


■ペリアンチェア(1953年)
・デザイン:シュアルロット・ペリアン(1903-1999 )
・製造/販売:(株)天童木工
・サイズ :W400 D520 H640 SH400
・素材  :ブナ材(積層合板)
・仕上  :木地艶消しラッカー、黒染色ラッカー
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