頼もしい家具制作活動と『君の椅子プロジェクト』

【石川尚の気になるデザイン】でご紹介した青山のスパイラルで開催の「ハンス・ヴェグナーの椅子展」を堪能した後、近くで開催している「家具グループ展」に立ち寄った。

実はこのグループ展は僕の教え子I君が知らせてくれた展示会、彼はそのメンバー。
I君は軽井沢で家具工房:風緑木を開設し、精力的に製作をしている木工作家。久しぶりに会ったI君は、精悍な顔つきで自作の家具・椅子やローテーブルなど丁寧に説明してくれた。同行した後輩の学生たちに励ましの言葉をかけながら家具作りの現場を熱く語っていた姿に頼もしさを感じた。

I君(右から2人目)のグループ展にて学生たち

 I君(筆者の隣)の家具グループ展にて ●クリックすると拡大します。


そのI君が「先生、こんな活動ご存知ですか?」と紹介してくれたのが、『君の椅子プロジェクト』。
 新聞のある欄で知った記憶があるが、そのプロジェクトにI君が参加していると聞き、あらためて詳しくその内容を知った。

「皆さんお金にならないのに本当に偉いんです。僕も参加させてもらっているのですが、かなり真っ当な活動なのでご協力を!」とI君からのリクエスト。
会場に置いてあった「君の椅子」会報を頂いた。

北海道・旭川大学大学院のゼミから始まった「君の椅子」プロジェクト。

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    【君の椅子】 会報誌   ●クリックすると拡大します。


会報をじっくり読みながら、あらためてプロジェクトの内容をここにご紹介する。

まず始まりは、北海道旭川市・旭川大学大学院の磯田憲一ゼミから。
「誕生する子どもを迎える喜びを、地域で分かち合いたい」そんな願いを込めてスタートした。プロジェクトに賛同した北海道・東川町が2006年から町内でうまれる全ての子どもに椅子を贈呈。その後、剣淵町、愛別町が参加。2012年からは東神楽町が参加。また、「個人でも参加したい」との希望に応え、地域の枠を超えた「君の椅子倶楽部」も誕生し、その活動ネットワークを広げている。

椅子制作のコンセプトも明快だ。
「君の椅子」は、
・ 生まれた日と名前が刻まれた世界にただ一つの椅子。
・ 無垢の木材で作る。
・ 確かな技を持つ旭川家具の職人が作る。
・ 毎年デザインが変わるオリジナルの手作り椅子。
の条件で毎年製作され、子どもたちに贈呈されている。

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2006年から2013年までの「君の椅子」(引用:会報「君の椅子」通信vol.4 ,p6-p7) ●クリックすると拡大します。


毎年、「君の椅子」発表会場となる北海道立旭川美術館には、歴代の「君の椅子」が収蔵されている。椅子に込められたコンセプトとデザインや造形技術が、美術館のコレクションにふさわしいとの評価からとのこと。