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テープ編が身体になじむ定番の「NT」1977年

石川尚の【気になるデザイン】日本の傑作椅子 写真集シリーズ08 無駄なく計算し尽くされた美しいデザイン・・・長らく幅広い用途で愛用される川上元美氏デザインの椅子、「NT」とは?

石川 尚

執筆者:石川 尚

ファニチャーガイド

石川尚の「気になるデザイン」

『原点』こころのデザイン 日本の傑作椅子 写真集08




(引用:別冊商店建築78「日本の木の椅子」,p102,商店建築社発行)



発売以来多くの人に親しまれたロングセラーの椅子「NT」
食事に、仕事に、住まいに、オフィスに、パーソナルにもパブリックにも、場所と用途を選ばないたぐいまれなデザインである。

何枚ものブナ材単板を合わせ成形(成形合板)し、曲線のフレームを作っている。
うしろ脚がそのままアーム(肘掛け)を形成したフレームと前足がそのまま座、背を形成したフレームとが3点の接点で結ばれた至って単純な形。
だが、フレームに綿テープや革テープで編み込んでかたち作った座面と背面は緩やかな曲面を描き、使い込むほど身体になじんで心地よい。
実際、筆者も何度か使用したが、とくにお尻周りと背中の接点がピッタリ身体に合い、非常に座り心地のいい椅子である。
個人的には時間の経過と共に素材感が増す革テープを編み込んだタイプが好きだ。

最低限の部材構造と計算されたフレームラインできれいな造形を生む椅子。
とくに、椅子の側面からみるフレーム構成の美しさが際立つ。

発売の1977年から日本の代表的家具メーカー「アルフレックスジャパン」の売り上げ1,2位を常に争うロングセラーの椅子である。

デザインは川上元美氏。
日本の椅子デザインではこの人をおいて右に出る人はいないといっても過言ではない。ヤマハのラケットなど幅広いデザインフィールドをもつことで知られているデザイナーだ。
幅広い用途で多くの方に広く愛用されている、傑作の椅子である。

■NTチェア(1977年)
・デザイン:川上元美
・製造/販売:(株)アルフレックスジャパン
・サイズ :W556 D565 H770 SH440
・素材  :オーク材(表面材)


石川尚の気になる「デザイン」
■日本の傑作椅子・バックナンバー
↓ 日本の傑作椅子 写真集07
・日本文化に感化。「ペリアンチェア」1953年
↓ 日本の傑作椅子 写真集06
・籐家具の傑作「トリイスツール」1956年
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↓ 日本の傑作椅子 写真集01
・日本土着的椅子:「ガマイス」1972年
↓ ‐『原点』こころのデザイン‐
・日本インテリアデザイナー協会の50周年記念テーマ



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