助けることで傷つく場面もたくさんある 

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「助ける立場」の人は自分のストレスに気付きにくい

震災や事故などの被害に遭われた方、またさまざまな困難に遭遇されている方は、人に慰められ、親切な手を差し伸べられることで、生きる気力を取り戻せることがしばしばあります。また、手を差し伸べる側も誰かの役に立てることで、生きがいややりがいを感じるものです。

しかし、こうした「助ける立場」の人こそ、覚えておきたいことがあります。それは、困っている相手だけでなく自分自身の心もいたわり、ケアをすることです。

被害や困難に遭遇している人は、想像を絶するほどのストレスを抱えています。不安定な精神状態のために、助けてくれた人に罵声と取られるような言葉を浴びせてしまったり、支援を頑なに拒んだり、希望に合わない支援に対してクレームをつけてしまったりすることもあるのが事実です。

これらは、極度のストレス状況下におかれたときの自然な反応なのですが、支援をしている側は受けた言葉や態度に傷つき、むなしさを感じてしまうものです。しかし、「助ける立場」の人は、その支援によって不快な思いをする場面もたくさんある、ということをあらかじめ想定しておくことが大切です。

災害支援者に多い3種類のストレス 

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災害支援者は強いストレス環境にさらされる

さらに過酷な環境で支援を行っていると、「助ける立場」の人たちもストレスを募らせてしまうものです。

日本赤十字社がまとめた災害援助者用の手引き『災害時の心のケア』によると、被災地の支援者が受けるストレスには主に3つあると報告されています。(次の3項目は、『災害時の心のケア』をもとにまとめました)

1. 危機的ストレス
現場で経験する死や事故への恐怖、死体や惨状を目の当たりにするショック、治療の優先順位の決定などの責任の重い決断、危険な環境での活動、任務の失敗、など危機的状況が招くストレス

2. 累積的ストレス
危険な環境での困難な救護活動、任務のプレッシャー、被災者からの否定的な反応、倫理的なジレンマ、などが蓄積していくストレス

3. 基礎的ストレス
過酷な環境で眠れない・休めない状態、チーム内の人間関係の問題、納得できない指揮命令、など活動に伴って生じるストレス

またこの手引きでは、支援する側に起こりやすい危機的な心理として、「私しかできない」と思いこみ、責任を任せられなくなる、 能力や適応力を使い果たした末に疲れ果てる、被災者が自立に向かうと同時に必要とされなくなるむなしさ、日常復帰後の喪失感や虚脱感、などの点を挙げています。

「助ける立場」の人は、自分自身が知らぬ間にストレスを募らせていても、すさまじい環境や支援への信念が心身を興奮させ、がむしゃらに支援にのめりこんでしまう傾向もあります。しかし、しっかり休み、ストレスを発散させる機会がないと、自分自身の心身の健康が危うくなります。


次のページでは、「助ける立場」こそ気をつけたい自分自身のストレスケアについて考えたいと思います。