企業のIT活用/システム運用管理

運営維持費を削減する IT備品管理

リカバリーDVDを適切に管理しておかないとパソコンが不調になった時、社内を探し回る羽目に。パソコンなど備品はしっかりと管理してTCO(total cost of ownership)を削減させましょう。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

リカバリーDVDはどこ?

リカバリーCDを探す

リカバリーCDを探す

使っているパソコンが立ち上がらくなったためパソコンに詳しい社員に見てもらうと「こりゃ、だめですね。リカバリーした方がよいですよ」と言われてしまいました。

リカバリーとは、パソコンを買った時の状態(出荷状態)に戻すこと。当然、ハードディスクの情報はなくなってしまいます。社内ではファイルサーバーにデータを残す運用にしているのでハードディスクの情報がなくなってもかまいませんが、リカバリーDVDがどこにあるか探さなければなりません。

探しはじめましたが、リカバリーDVDは課内のどこにもありません。パソコンの空き箱ならロッカーの上にいくつかあったよと教えてくれる人がいたので、ロッカールームに入るとホコリだらけの空き箱がころがっていました。パソコンのメーカー名と型番を片手に探しまわり、ようやく空き箱を見つけると中にリカバリーDVDが入っていて無事にリカバリーが完了。結局、一日仕事になってしまいました。

皆さん、今お使いのパソコンのリカバリーDVDがどこにあるか把握していますか?

リカバリーDVDの管理からはじめましょう

リカバリーCDの管理からはじめましょう

リカバリーCDの管理からはじめましょう

探しまわって1日仕事にならないよう、まずはリカバリーDVDの管理からはじめましょう。パソコンの空き箱からリカバリーDVDなど付属品を取り出します。テプラでメーカー名、パソコンの型番を印刷してリカバリーDVに貼りつけ、1ヶ所にまとめておきます。

パソコンの空き箱は捨てます。パソコンの空き箱が必要なのは中古で売る時に査定に響くぐらい。パソコンを修理に出す時も、宅配業者が専用の段ボールを持ってきてくれるので空き箱は不要。

空き箱を捨ててしまえばオフィスもきれいになり、リカバリーDVDを探しまわる時間を短縮できます。パソコンを廃棄するとリカバリーDVDもいらなくなるので捨てますが、そのためにはリカバリーDVDの台帳管理が必要です。パソコンとセットものなのでパソコンも台帳管理しておきます。

パソコンの管理項目としては
  • 課名
  • 担当者名
  • メーカー名
  • 型番
  • リース(リース導入日、リースアップ日)
  • 買取(買取日)
  • メモリー容量
  • ハードディスク容量
  • OSのバージョン
  • Officeのバージョン
  • 導入されているソフト
  • 導入した時の予算
  • ウイルス対策ソフトの有効期限
になります。

会社によっては、全社単位でなく課単位でパソコン購入が行われていることがよくあります。バラバラに導入すると社内に様々なメーカーのパソコンが並ぶことになり、パソコンショップの店頭のようになってしまいます。

導入はガイドラインに沿って進めましょう

導入にあたってのガイドラインを作っておきましょう。なるべくメーカーを絞った方が、リカバリーDVDの管理も楽になります。

オフィスのバージョンをなるべく統一しておくようにしましょう。特にOffice2007以降とOfiice2003以前とではファイル体系そのものが変わってしまったので、バージョンが違うofficeが混在していると、社員間でのファイルのやりとりに様々なと齟齬が発生します。Office2007から、どうファイル体系がかわったかは「Web2.0な日々 セマンティックス・ウェブへ」をお読みください。

ソフトのライセンス数管理をしてTCOをおさえる

備品管理台帳があればソフトのライセンス管理にいかせる

備品管理台帳があればソフトのライセンス管理にいかせる

ビジネスソフトの多くはボリュームライセンス契約になっています。昔は、50台分のOfiiceソフトが必要ならOfficeソフトを50個買っていました。Officeソフトの箱だけで台車が一杯になり保管場所の確保が大変でした。ボリュームライセンス契約では、ソフトを1つ買えばDVDから契約台数分のソフトをインストールできます

備品台帳管理を行うと、どの部署のどのパソコンにソフトが必要かわかります。適切なライセンス数にできコストを下げることができます。

TCO(Total Cost of Ownership コンピュータ・システムの導入、維持・管理などに必要な費用の総額のこと)という言葉があり、導入費用だけに目を奪われるではなく運営費用と共に考えます。一般的に運用費用は導入費用の数倍になります。ウィルス対策ソフトのバージョンアップ費用やOSのバージョンアップ費用など、台数が増えれば多大な費用になるので備品台帳管理を適切に行い、TCOをおさえましょう。各課まかせにすると、いきあたりばったりの経費となりがちですので、きっちり予算化しましょう。

備品管理は小さく始めて大きくしていく

備品管理は小さく始めて成熟度があげていく

備品管理は小さく始めて成熟度があげていく

まずは社内にあるパソコン、リカバリーCDなどの付属品、プリンター、トナー、サーバーから台帳を作って管理を始めます。リカバリーCDは1ヶ所にまとめて、持ち出したら必ず返す運用ルールを作って社員に徹底します。

トナーは在庫管理が必要。期末前で報告書など印刷が多くなる、反対にニッパチ(2月、8月)は使用量が減るなど季節変動を把握し、手間がかからない管理をします。業者に頼んだら翌日には持ってきてくれるような環境なら予備に1つぐらいを確保する管理で大丈夫です。
→ 連関比率法で需要予想 その在庫は本当に必要

備品管理は小さく初めて全員が慣れるようになってから、デジカメなどだんだん管理対象を拡げていきましょう。

USBメモリーを備品管理に入れると大変

USBを備品管理に入れると大変

USBを備品管理に入れると大変

USBメモリーを管理対象とすると、かなり大変な作業が発生します。誰にいつ何の目的で貸与したか記載しなければなりません。なかにはずさんな管理をして、机の中に入れておいたはずなのに無くなったという社員が出てきます。定期的に台帳を元にした棚卸が必要になります。

管理対象を拡げた方がよいのは確かですが、管理するためのコストが増えてきてトレードオフになります。

管理対象や社員数が増えてくるとエクセルや台帳での管理が難しくなります。コストはかかりますが備品管理ソフトの導入やバーコード、ICタグによる管理を考えなければなりません。

キャパシティ・プランニングを考える

備品台帳管理を行うことでキャパシティ・プランニングを行えます。キャパシティ・プランニングとは、システムリソース(キャパシティ)が求めるサービスレベルを満足するように最適なシステム構成を計画することです。

ソフトが年々重たくなるので、パソコンの処理要求がおいつかなくなってきます。レスポンスタイムが遅くなり、業務に支障が出始めたという声が上がり始めたら、メモリー容量の増設やパソコンのリプレースを検討しなければなりません。場当たり的に行うのではなく、台帳があれば台帳を元に同等のCPUやメモリーのパソコンはどれぐらいあるか把握することができます。

備品台帳管理を行いTCOを下げましょう。
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