10代・20代のゲイを支援するプロジェクト

NHK教育『青春リアル』にサルさんというゲイの男の子（23歳）が登場しているのをご存じでしょうか？ 放送を毎週チェックして応援している人もいらっしゃると思います。（詳しくはこちら）
サルさんは18歳のとき親友に初めてカミングアウトし、「同性愛者だからって何も変わらないよ」と言われたけど、二人の間に「新しい違和感」が生まれ、しだいに彼と距離を置くようになりました。「何も変わらない」なら、なぜゲイの多くが異性愛者と深くかかわるのを避けるのだろう？とサルさんは問題提起します。彼が感じている“居心地の悪さ”はどこから来るのか？
『青春リアル』の公式サイトで立てられたこのトピックに、他の10人のメンバーからさまざまなコメントが寄せられています。ぜひ読んでみてください。

ゴトウは中学・高校時代（80年代）、楽しんごさんほど壮絶ないじめに遭ったわけではありませんが、同性愛者という「異端者」「呪われた種族」である自分に未来は無いと思い、田舎で孤独に苦悩していました。まだインターネットもなく、たまに本屋で同性愛について書いてある本（『仮面の告白』とか『地獄の季節』とか）を見つけても、暗い気持ちになるばかり。世の中にもっと自分を肯定してくれる情報があふれていたら、周りに一人でも「そのままでいいんだよ」と言ってくれる人がいてくれたら、ぜんぜん違っただろうな…と思います。

毎日新聞北海道版の「レインボーマーチが聞こえる：性的マイノリティーの日常」という記事には、レインボーマーチの創設者の一人であるバー『Hearty Cafe』のマスターのことが紹介されています。世代は少し下ですが、僕と同様に思春期に苦悩し、でも勇気を出してゲイバーの扉を開き、そこから世界が変わったという桑木さん。紆余曲折を経て10年もパレードを続け、今はコミュニティの世話役としていろんな人の相談に乗っています。「自分は子どもを残せないけど、これから出てくるゲイの子たちが自分にとっての子ども。その子たちがあるがまま認められる、住みやすい虹の街を作りたい」と語る桑木さん。記事の最後はこんな文で締めくくられます。「孤独から抜け出したくて、初めて店を訪ねて来る若い子を、彼は勇気をたたえて、こう出迎える。『よく来たね』」
思わず涙がこぼれるような、素晴らしい記事でした。

一方、同じ毎日新聞の連載では、かつての僕と同じように「異端者」として生まれた自分を呪い、母親を責め、自殺を図ったゲイの男の子のエピソードも掲載されていました。読む者の胸をギュッと締めつけるような、痛ましいお話でした。時代が変わったとは言え、今でもこうして苦しむゲイの若者がいるんだな…と、実感させられました。

ゴトウがこのサイトで記事を書いたり、オンラインマガジンを運営しているのも、世界から見捨てられたような孤立感や絶望を経験したかつての自分のことに思いを馳せ、ゲイであることを受け容れられずに苦しんでいる方たちに「大丈夫だよ」「何もまちがってない」「勇気を出して」というメッセージを伝えるためです。
特に若い人に限定しているわけではありませんが（年配の方だって、働き盛りの方だって、それぞれ大変なのです）、やはりこれまで、若い方からも相談をいただきました。ゲイということ以外にもマイノリティ性をもった大変な方などもいて、ずいぶんメールのやりとりをしました。

NHK教育『ハートをつなごう』が数年にわたり、誠心誠意、僕らをサポートしてきてくれたこととは対照的に、東京都の首長があからさまにゲイ差別発言をしたり（メディアもそれに同調したり）、一進一退といいますか…だいぶ変わってきたとは言え、世間では必ずしもゲイが全面的に受け容れられているわけではないし、まだまだゲイの若者たちへのサポートが必要なんだろうな、と思います。
そういう意味で、ゲイコミュニティ内では、悩める10代、未来ある若者をサポートしようという、いろんなムーブメント、プロジェクトが立ち上がってきました。今回はそうした動きのいろいろをご紹介したいと思います。