「その問題は、本当にあなたのせいなのでしょうか?」
「あなたのせい」ではなく体の状態がそう思わせているのかも
たとえば、毎日強い落ち込みを感じ、「もう生きていたくない」と思うほどの悩みを抱えている場合、その悩みの原因は本当にあなた自身にあるといえますか?
ひょっとしたら、「うつ病」という病気を背負ったことにより、過剰な自責感にとらわれているのかもしれません。うつ病は、日本人の15人に1人、データによっては7~8人に1人がかかるといわれる、とても一般的な病気です。脳に一時的な神経伝達のトラブルが生じて、過剰な絶望感や自責感などの特徴な考え方が現れるのです。しかし、薬を飲むことで回復し、その考えからはいずれ必ず脱出できます。
病気は重くになるにつれて、その病感「つまり自分は病気なのかもしれない」という実感が薄れるもの。だから、自分ではそう思えなくても、実際には自分に問題があるのではなく、病気が自責感を生じさせている可能性は高いのです。
また、たとえば家族の問題で悩んでいる人の場合はどうでしょう。たとえば自分の子どもがいわゆる“正道”といわれる道を歩めないとき、それは親だけの責任だといえるでしょうか?
問題の原因は1つに限定できますか?
原因は、一つに限定できるはずがありません。子どもの感受性がとても強いことが、関係しているのかもしれません。あるいは、友達や異性との関わりがうまくいかないことが、影響しているのかもしれません。たくさんの原因が複雑に絡み合い、「○○のせい」などと特定できるはずがないのです。
また、そもそも“正道”とはなんでしょう? 子どもが問題行動を起こすことこそ、“自分の正道”を探るために必要なプロセスなのかもしれないのです。
問題や問題を引き起こしている原因を、いったん自分から引き離してとらえ直してみてください。すると今、自責的な思考に陥っている自分の傾向に気づけるかもしれません。
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絶望の底に沈んでいるときには、自分は無価値だと考えます。しかし、そんなときには「何があったから、ここまでやってこれたのでしょう?」そして、「その問題は本当にあなたのせいなのでしょうか?」――この2つの質問を自分に投げかけてみてください。そして、自分自身に「かけがえのない人生」をもう一度歩むチャンスを与えてみてください。