・蒸物
柿右衛門の器に入った「蕪蒸し」
今回は蟹コースですが、これだけは例外として、一年前からリクエストしておいた「聖護院蕪の蕪蒸し」。蟹が海の食材(冬)の王様とすれば、地の食材(冬)の王様といえば、やはり「聖護院蕪」でしょう。冬のコースを御紹介する上で、これだけは欠かすことのできない一品です。
しかも、今回の「蕪蒸し」は単なる「蕪蒸し」ではなく、中身には「和牛」が入っています! 近江牛の頬肉を12時間もかけて蒸し上げ、脂を落としきることで繊細であっさりとした味わいにし、それを聖護院蕪で包み込んであるのです。
口に入れると、聖護院蕪の優しい甘みが拡がり、続いて頬肉の柔らか繊維が滑らかに解けていくのです。底冷えの厳しい京都で冷えた身体に、蒸物ならではの温かさが五臓六腑に沁み渡り、身も心もほっこりと温まる美味しさでした。
・飯物
蟹&生カニミソ御飯
御飯の上に、余りあるほど大量に乗せられているのは、「生のカニミソ」と「蟹のほぐし身」。生のカニミソは炊きたての御飯と混ぜ合わせることで、しっとりと火が入り、御飯との絡み具合も絶妙なのです。
生カニミソの風味が芳醇
正直、この生カニミソと御飯だけでも大満足なのですが、ここにさらに気前が良すぎるほど「蟹のほぐし身」が入っており、これが程よい食感のアクセントになると共に、さらなる旨味とコクを生み出し、食べる勢いが止まらない! 日本料理独特の贅沢というか、まさに究極の「蟹御飯」でしょう。
・飯物 その2
和風ローストビーフ
そして料理長の泉さんが、たまに作られるというレアメニューの「ローストビーフ」! 亀岡牛のイチボの中でも特に霜降りの部分だけを使った逸品で、口の中で蕩けるような食感と、肉香、肉の甘み(旨味)が存分に味わえる仕上がりなのです。
山椒を使うことにより、一層しっとりと柔らかくなるようで、こんなに柔らかジューシーなローストビーフはホント初めて。
究極の牛丼の完成
このローストビーフを豪快シンプルに白御飯に乗せていただく趣向なのですが、こんな旨いものが何故この世にあるの!?と思えるぐらい感動度が限界突破。
美食とは、「文化(芸術)」であると同時に「快楽」でもあるのだと、改めて実感です。いやはや、私が食べてきた限り、間違いなく世界最高の「牛丼」! いや、「ローストビーフ丼」でしたね。
尚、この「ローストビーフ丼」は毎回作られているものではありませんので、どうしても食べたい!という方は、事前に予約リクエストしておいたほうが良いでしょう。
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