マンションビジネスは案外儲からない?
それでは、不動産会社の利益はどのくらいか、というと、粗利20パーセントの中から、販売経費を除き、更に諸経費を除きますから、結果として利益率は8~10パーセント程度になってしまいます。他の業界で身近なところでは、ファミリーレストランで10パーセント、コンビニで9.5パーセントですから、マンション事業とほぼ同じ水準の利益率であることが分ります。過当競争にある飲食、サービス業界とほぼ同じ利益率というのは、決して高いとはいえません。ただ、総売り上げで比較すると、ファミリーレストランの年間売上は1億4,400万円、利益1,440万円、コンビニは年間売上2億1,600万円、利益2,160万円です。かたや総戸数100戸・平均価格4,000万円のマンションの売り上げは40億円とケタが違います。
分譲マンション事業は、ハイリスク・ハイリターンビジネス
したがって、完成までに完売すれば、4億円の利益確保につながりますが、そこにいたるまでには、1.5年間を費やしますので、年間の利益に換算すると、2.6億円となります。他の事業と較べれば、利益絶対額は圧倒的に多いわけです。ただし総戸数の10パーセント、つまり最後の10戸が売れなければ、利益確保にはいたりません。しかも、最後に残る不人気住戸の販売は難易度が高く、販売期間が長期化すると販売経費が当初想定したより多くかかり、利益圧迫につながります。また、値下げして売ろうとすれば、それも利益減少につながるのです。このように、分譲マンション事業はハイリスク、ハイリターンなビジネスというわけです。特に地価が右肩上がりで、不動産の投資が積極的だった1990年初頭までは、売れ行きリスクも少なく、結構儲かった時期もあったかもしれませんが、現在のように、不動産価格が低下し、需要も減退する市場においては、意外に儲からない、というのが実態かもしれません。
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