必要な資金と調達の方法の書き方
創業計画書の書式の右上にある、「4.必要な資金と調達の方法」をご覧ください。左半分が必要な資金、右半分がそれをどうやって調達するかです。それぞれ合計欄がありますが、必ず左右で合計額が一致することになります。
■設備資金
左側の必要な資金から見ていきましょう。上半分が設備資金、下半分が運転資金と欄が分かれています。設備資金とは文字通り設備などの購入などのための資金です。例えば、パソコンや機械を購入したり、厨房設備を備え付け内装工事を行う場合などに必要な資金です。オフィスを賃貸する際の保証金なども設備資金にあたります。
設備資金のポイントは、見積書を取得する必要があること。事務所や店舗をこれから借りる場合は、見積書の代わりに不動産屋などが作成した物件チラシが必要です。見積書などが必要な理由は、資金使途(借りたお金の使い道)を確認するため。記載例のように項目別に分けて記載し、それぞれ見積書を示せるように準備をしましょう。
■運転資金
次に運転資金です。 運転資金とは毎日の業務を回していくのに必要な資金。例えば、商品や材料の仕入れ資金、社員の人件費、電気代などの水道光熱費などの諸経費、支払利息なども全て運転資金に該当します。
では、運転資金としては何ヶ月分が認められるのでしょうか。これはそのビジネスモデルの支払条件、回収条件によって違ってきますので、一般的ビジネスモデルの場合を記載しておきます。例えば、会社にモノを売る業種の場合、まず商品を仕入れて支払期日に業者に代金を支払う、社員に働いてもらって給料を支払う。そして、売上が上がり、売掛金が回収入金されるといった流れになります。先にお金が出て、あとでお金が入ってくるまで、だいたい2ヶ月~3ヶ月くらいですよね。ざっくりというと、このつなぎで必要な資金が運転資金です。よって、運転資金は2~3ヶ月分が妥当ということになります。
書き方としては、記入例のように項目別に分けて記載していきます。金額が小さいものについては「その他の経費」としてまとめて構いません。
■自己資金
今度は右側をみていきましょう。上から自己資金、親、兄弟、知人、友人などからの借入、日本政策金融公庫、国民生活事業からの借入、他の金融機関からの借入です。まず、自己資金とは株式会社の場合、原則として資本金と会社設立費用の合計ですので合計額を記載してください。創業融資のなかでも新創業融資制度(無担保・無保証)を借りる予定の場合、特にこの自己資金が重要。調達の方法の合計のうち、10分の1は自己資金でまかなえていることが要件となっています。詳しくは「日本政策金融公庫で新創業融資を調達するノウハウ」で詳しく解説していますのでまずはそちらをご覧ください。
この自己資金は創業融資においては非常に重要な審査項目となっています。もし、連帯保証人や担保を用意できて、新創業融資である必要がない場合でも、やはり10分の1から2分の1程度の自己資金は用意することを目指しましょう。
■親、兄弟、知人、友人等からの借入、他の金融機関などからの借入
親などからの借入、他の金融機関からの借入があれば、ここに記載します。新創業融資の場合、自己資金が調達合計の最低でも10分の1あるかどうかが要件となり、融資限度としては10分の9までとなります。もし、親、兄弟、知人、友人などからの借入、他の金融機関などからの借入などがある場合、日本政策金融公庫の新創業融資の融資限度である調達合計の10分の9から、それらの借入を差し引かれてしまうことになります。
もし、会社設立前の時点で創業融資の調達を検討されている場合、自己資金の比率を高め借入額可能額を増やすためにも、なるべくなら親、友人などからの借入は、借入ではなく、出資にしてもらえないか検討することをオススメします。
■日本政策金融公庫、国民生活事業からの借入
最後にこの欄は全体の差額で決まり、記載することになります。前述したように新創業融資であってもなくても自己資金は10分の1から2分の1程度あった方がベターです。この段階で自己資金が10分の1から2分の1ない状態の場合、左の設備資金、運転資金の金額を見直すか、増資して自己資金を増やすか、どちらかを検討した方がよいでしょう。