日本ではヤフー・ユーザーが多いため、各サイトではどちらかというとヤフー重視で検索エンジン対策をしていました。ところがヤフーが独自の検索エンジンをやめ、Googleを採用したことから前提が大きく変わってしまいました。
検索順位が下がったことで売上げが落ちる企業、反対に検索順位が上がった企業など悲喜こもごも。今回は、なぜヤフーが独自の検索エンジンをやめたのか、その背景を解説します。
ヤフーが独自の検索エンジンをやめた理由
Yahoo!の検索エンジン結果がGoogleと同一に
日本はこれが逆転していてヤフーが55%、2番手がGoogleで35%。欧米ではGoogleシェアが圧倒的に大きいのですが東アジアでは事情が異なり、中国は百度(Baidu)、韓国はNAVER(ネイバー)がよく使われています。
※百度(Baidu)の社名は宋代の有名な漢詩「衆里尋他千百度(人波の中から、あの人を探す)」から名づけられました。NAVERは、英語の「Navigate(航海する)」と「-er(「…する人)」を合わせて作られた言葉。ヤフーの社名の由来は、「Yahoo!は横綱・曙から生まれた」を参照ください。
日本の場合、パソコンショップで買ってきてブラウザーを立ち上げると最初のページにヤフーが設定されていることが多いです。また、日本人はGoogleのシンプルな画面よりも、様々な情報満載のヤフーが見やすいと感じるようでシェアが強いようです。
日本と違いアメリカではヤフーが2番手ですので、3番手のマイクロソフトと手を組み、1位のGoogleに対抗しようという戦略。検索エンジンの改良に不可欠なのが検索件数。検索するユーザーが何を求めているか分析するには検索ボリュームが必要です。
単独よりも同じ検索エンジンを使う方が検索ボリュームが増えるので、マイクロソフトと提携。加えてアメリカの場合、マイクロソフトの検索エンジンBingがリリースされた影響でGoogleではなくヤフーからかなりのシェアを奪い、Bingの追い上げにギブアップした面があります。
ヤフー(日本)の筆頭株主はソフトバンク
ヤフー(日本)の筆頭株主はソフトバンク
ソフトバンクがヤフーの筆頭株主になったのには理由があります。スタンフォード大学の学生だったジェリー・ヤンとデビッド・ファイロが創業したヤフーが、なんとか最初のベンチャー・キャピタルから出資を受けることには成功。ただし、山のモノとも海のモノとも分からないベンチャーで、その後の資金集めには苦労していました。
ヤフーの先見性と将来性を見抜いて、出資したのがソフトバンクの孫社長。1996年1月にはヤフーとソフトバンクの共同出資で日本のヤフーを設立し、1996年4月1日からサービスを開始しました。ヤフーの成長にソフトバンクが大きく関わった歴史的経緯から、日本のヤフーは他の国と違った路線で歩んでいます。
独禁法をクリアしてGoogleとの提携を発表
公正取引委員会へ独禁法上問題がないか確認
マイクロソフトのbing採用を検討したようですが、Google検索エンジンを超えるものではないとなり、結論はGoogle採用となりました。Googleにとっても願ったりかなったりですが、問題となってくるのはヤフーとGoogleの検索エンジンシェアが1位、2位という事実です。事前に公正取引委員会へ独禁法上問題がないか確認したところ「問題ない」との回答があり、2010年7月に検索エンジン提携が発表されました。
しかし、日本の検索エンジン技術の90%がGoogleに独占されることになるので、マイクロソフトからは競争を阻害すると公正取引委員会に異議申し立てが行われています。