悪質な不動産業者による情報隠しもある

あなたから家の売却の依頼を受けた不動産業者は、その内容をレインズという業者間の情報交換システムに登録をしなければなりません(一般媒介の場合を除く)。これによって、他の不動産業者もその情報を得ることができ、購入希望者を探すことができます。

つまり、あなたから家の売却の依頼を受けた(媒介契約を締結した)のがA社であっても、実際に購入希望者を連れて来るのはB社だったり、C社だったりするわけです。

しかし、購入希望者を連れて来るのがいつも(売却を依頼した)A社ばかりで、他社からの案内がまったくないという場合には注意が必要です。

もちろん「A社がとても頑張っている」という可能性も否定できませんが、逆にA社による情報公開が適切に行なわれていないケースも考えられるでしょう。

レインズに情報を登録したときには流通機構側から「登録証明書」が発行され、不動産業者はこの証明書を依頼者に渡しているはずです。ところが、悪質な業者ではこの「登録証明書」が発行された途端に情報を削除してしまうケースがあるようです。

こうしておいて自社で買主を見つければ、一つの物件の売買で売主からも買主からも媒介手数料を得られるのです。ちなみに、同じ業者が売主と買主の双方から媒介手数料を得る行為のことを「両手」といいます。

あなたが売却を依頼した不動産業者とは別の不動産業者に調べてもらえば、このような不正はすぐに見つけることができるものの、面識がない業者にこの確認だけを頼むのはなかなか難しいでしょう。

数年前に他社(某大手不動産業者)のお客様の依頼を受けて私が調べた例でも、そのお客様の物件情報があるべきところ(レインズ)に存在しませんでした。売却の依頼をしてから1か月ほどの時期で、初めは「登録証明書」を受け取ったとのことでしたが……。

国土交通省は2016年1月に、売主が「自身の物件について」レインズへの登録状況などを確認することのできる「ステータス管理」を導入しています。

これによって、売主本人が登録された物件情報、登録図面、取引状況の設定内容(公開中、購入申込みあり、売主都合で紹介停止中など)をチェックできるため、登録削除による情報隠しはだいぶ防げるようになったと考えられます。


悪質な不動産業者による営業妨害、情報の囲い込みもある

上記のようにいったん登録した情報をレインズから削除しなくても、他社からの問い合わせに対して「契約予定です」「売り止め(契約交渉中)です」などと虚偽の回答をし、他社による物件の紹介をさせない業者も存在します。

もちろん、本当の契約予定などであればまったく問題はないのですが……。自社に購入見込み客を多く抱えている大手業者などにときどきみられる不正な「情報の囲い込み」で、これも目的は「両手」です。

このような不正が行なわれていないかどうかは、(少しの演技力があれば)あなた自身でチェックすることも可能です。

あなた自身もしくは第三者が不動産業者のフリをして、売却を依頼した不動産業者に(番号非通知で)電話をしたうえで、物件の確認をすればよいのです。不動産業者から販売図面をもらっていれば、それを見ながら電話をするようにします。

「○○不動産ですが、物件の確認をお願いします」
  (業者名は自分で考えて)

「どうぞ」

「○○の中古一戸建て、○○万円、ございますか」
  (所在地の町名または最寄り駅と売り出し価格)

「ありますので客付けをお願いします」

「わかりました。がんばります」
  (「がんばります」は慣用語のようなものであり、売る気がないときでも「がんばります」となります)

たったそれだけのやり取りですが、もしこのとき自分の身に覚えがないのに「契約予定です」などの回答があれば、その業者が情報を適切に公開していないことになります。媒介契約の解除を含めて早急に対策を検討するべきでしょう。


物件の広告は適切にされているか?

レインズへの登録によって不動産業者間の情報公開が適切にされていても、それだけで買主が見つかるとは限りません。とくに、最近はインターネットの物件検索サイトなどで情報収集をする購入希望者も多いため、複数の有力サイトへ登録をすることが欠かせなくなってきています。

売却を依頼した不動産業者から「どのサイトに登録をしたか」についての報告を受け、自分でもアクセスをして確認するようにしましょう。

このとき、あなたが依頼したのとは別の知らない業者名で検索サイトへの登録がされている場合もあります。これは原則として、依頼をした業者が他の業者に対して許可を与えたもので、無許可の掲載登録は処罰の対象となっています。

他社による検索サイトへの登録や、他社サイトへの掲載を許可するかどうかは、あなたが売却を依頼した不動産業者の裁量によりますが、多くのサイトで紹介されればそれだけ間口が広がる一方で、時間が経ったときには物件情報の「鮮度落ち」も起こりがちです。

あまりにも多くのサイトに掲載されるのは考えものですが、ある程度は他社のサイトにも掲載してもらえるようにするほうがよいでしょう。

また、インターネットを利用しない消費者に対しては新聞の折り込み広告などが必要となる場合もあります。売却を依頼した不動産業者がどのような広告をしたのか、あるいは他社による広告へどのように掲載されたのか、常に報告を受けて確認をしていくようにするべきです。


まわし物件にされていないか?

普通に売り出したはずなのに、いつの間にか他の物件を引き立てるための比較材料にばかり利用されてしまうことがあります。

このような物件を「まわし物件」といいますが、いくつかの不動産業者が何度も購入希望者を連れて来るのにも関わらず、契約に向けて進む話がまったくない、というような場合には注意しなければなりません。

「まわし物件」になるときには何らかの要因があるはずですから、なるべく早くその要因を突き止めて解消することが必要です。たいていは売り出し価格のミスマッチか、物件自体の条件(見た目やイメージなど)が原因となっています。

いったん「まわし物件」にされたとしても、それなりに価格を下げれば売れる可能性は高まりますが、なかなかそうできない場合も多いでしょう。買換えで先行して新居を購入しているのでなければ、しばらく売却活動を休止することもひとつの選択肢です。


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