会社の登記が終わり、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)が手には入ったら、会社の銀行口座を開くことになります。

「さて、どこの金融機関で口座を開けば良いんだろう?!」と、皆さん非常に迷うものです。ガイドもよく相談を受けます。ガイドの企業の資金繰り担当者としての経験や多くの起業サポート経験をもとに、起業・独立時の銀行選びとその後のつきあい方について解説していきたいと思います。

金融機関の種類は?

起業,独立,銀行,口座,融資,公庫,借入

金融機関の種類による特徴をおさえ、上手に使い分けよう

まずは金融機関の種類ごとに基本的なことを確認しておきましょう。

■都市銀行とは
都市銀行(略して都銀ともいう)は大都市に本店を構え、全国展開している銀行。特に、その中でも規模の大きいものをメガバンクといいます。都市銀行は大企業、中小企業、個人などと幅広く取引をし、大規模な投資、国際業務までも行っています。

■地方銀行とは
地方銀行(略して地銀ともいう)は各都道府県に本店を構え、各地方を中心に営業を展開している銀行。都市銀行のように大口取引は少なく小口取引が主体で、取引対象は地元の中小企業や個人がメイン。中小企業に対し細やかに対応していることから、中小企業にとっては重要な資金調達先となっています。

■信用金庫とは
信用金庫(略して信金ともいう)は、会員の出資による協同組織の地域金融機関。営業地域は地元の一定の地域に限定されていて、その地域の中小企業や個人のための専門金融機関です。

■信用組合とは
信用組合(略して信組ともいう)は、組合員の出資による協同組織の法人で、組合員の相互扶助を目的とする非営利の金融機関。組合員が預金した資金を組合員が必要なときに利用するシステムで、預金の受入れと貸付けが組合員に限られているところに特徴があります。組合員になれるのは、営業地域の在住者、在勤者、事業所所有者です。

金融機関の種類ごとの特徴

それぞれの視点で各金融機関を比較すると以下のような特徴があります。

■資金調達という視点での比較
都市銀行・地方銀行は株式会社ですから、株主利益を最大限に追求する経営形態となっています。これに対して、信用金庫・信用組合は地域住民や中小企業が利用者や会員・組合員となり互いに地域の繁栄を図る相互扶助の組織。そのような性質から、信用金庫は利益第一主義ではなく、会員・組合員である地域社会の利益を優先します。

そのため、信用金庫・信用組合は一般的には都市銀行・地方銀行よりも多少は融通の利いた融資をしてくれる可能性もあるといえるでしょう。企業の現状の財務状態だけでなく、社長の人柄や企業の成長性や伸びしろを見てくれる特徴もあります。経営がうまくいっていない状況でもすぐに引き上げたりせず、返済猶予などにより温かく見守ってくれることを期待できるでしょう。小口顧客を対象としているため、営業担当者がこまめに訪問してくれるなど小回りの効いた動きも特徴です。

小口融資をしてくれやすいという面では、一般的には以下のような順序になります。
信用金庫・信用組合 > 地方銀行 > 都市銀行

反面、信用金庫・信用組合は都市銀行・地方銀行ほどの資金量がありませんので、大規模な融資や国際展開には対応できないこともあります。また、全体の資金量の違いから調達コストが大きいことも影響し、都市銀行・地方銀行より金利が高い傾向にあります。

融資の金利が有利(低い)という面では、一般的には以下のような順序になります。
都市銀行 > 地方銀行 > 信用金庫・信用組合

もちろん、上記の比較はあくまでも一般的な傾向です。個別の金融機関の個性や個々の案件、会社の信用等の個別の事情により違ってきます。

■利便性という面での比較
次に利便性という面で比較します。

都市銀行で口座開設する利点としては、ネットバンキングなどインフラ面での整備が進んでいるということです。使い勝手の良いネットバンキングシステムで快適に手続をすることが期待できます。それに対して信用金庫、信用組合では、都市銀行に比べればシステム投資にお金を掛けていない分、使い勝手の良いネットバンキングシステムが構築されていないケースもあります。

また、支店数の多さ、ロケーション、提携ATMの数などでも都市銀行に軍配が上がるでしょう。

反面、日頃の手続や融資の際に担当者がまめに来訪してくれるなど、きめ細やかなサービスを期待できるのが信用金庫、信用組合です。都市銀行の場合、大口の取引先でもない限り、そこまできめ細かい対応は期待できません。

複数の金融機関で口座開設しても良いか?

複数の金融機関に口座開設しても問題ありません。例えば、日頃の入出金、請求入金先用に都市銀行で口座開設してインターネットバンキングも導入する。その後、創業融資を受ける際にもう1つ信用金庫で口座開設するということも可能です。

また、振込手数料などのコスト負担の節約を考えた場合、振込手数料が格安のネット専用銀行にビジネス用口座を開くという手もあります。従業員さんに同じネット専用銀行で口座開設してもらえば、毎月の給与振込の際に手数料コストを削減することができるなど更にメリットは大きくなります。