大麦の種類
麦類は世界で一番多く作られている穀物で、イネ科に分類される麦は大麦、小麦、ライ麦、オート麦などありますが、麦めしにブレンドされるのは、大麦です。大麦は、脱穀してビール、ウィスキー、焼酎などの酒類、麦味噌、黒酢などの原料として使われます。さらに大麦にも、皮麦(二条大麦と六条大麦)とはだか麦の種類があります。
種類 | 用途 |
二条大麦 (大粒) | ビール、麦焼酎、 麦ごはん |
六条大麦 (小粒) | 麦茶、 麦ごはん |
はだか麦 | 麦ごはん、 麦みそ |
皮麦は穀皮が子実に密着し剥がれにくいのですが、はだか麦は脱穀すると皮が簡単にはがれます。またお米同様に、大麦にも粘りの多い「もち性」と「うるち性」があります。
脚気(カッケ)治療に一役
大麦の原産地は、西アジアとされ、紀元前に7500年~6000年頃には栽培が始まったと言われていますが、100万年以上も前から人類の祖先である原人が野生の大麦を食べていた可能性もあるそうです。日本でも弥生時代の初期とみられる遺跡から大麦が発見され、『古事記』の中には「麦」が登場します。昔からよく使われる「五穀」の長が大麦とされていますから、日本人にも大切な穀類として扱われていたのでしょう。
明治時代には栄養不足からくる脚気が多く見られましたが、海軍軍医 高木兼寛は、軍艦の乗組員に麦ごはんを食べさせて、長期の航海中に一人も脚気の発病者を出さなかったというお話は有名です。その後になってからビタミンが発見され、ビタミンB1の欠乏がカッケを引き起こすことがわかり、高木兼寛は「ビタミンの父」と呼ばれています。
昔は、大麦を炒って粉にしたものに、砂糖や熱湯を加えたものが「おやつ」として食されていました。関東では「麦こがし」、関西では「はったいこ」、関東以北では「香煎」と、呼び名は違いますが、各地で親しまれていました。最近では、大麦の若葉を粉砕して粉末にした青汁が、健康食品として売られているのを見かけます。
徳川家康も食べていた麦めし
戦国時代を生き抜き江戸幕府を開き、当時の人として長寿で知られる徳川家康は、カラダを壮健に保つからと麦飯とお味噌汁、野菜の質素な食事を好んで食べていたそうです。大麦は粒のままでは火が通りにくく、一般的に炊きやすく加工された押麦や米粒麦などが市販されていますが、吸水性が高いため、少し多めの水を加えて炊くのがコツです。麦の倍量の水を目安にされるとよいでしょう。大麦独特のプチプチっとした弾力のある歯触りが楽しいです。でもたくさん入れすぎるとごはん自体がパサパサしますので、1.2割程度を白米に混ぜるようにしましょう。
米粒麦は、押し麦のように、ローラーで押さずに、スジにそって二つ割にしています。お米との違和感がないように形や比重を加工しています。
最近の米粒麦は、精白度を高めて大麦のクセをなくした商品も出ていますが、精白すればするほど、大麦に含まれる栄養素や成分も減ってしまいます。お好みに応じて選びましょう。
大麦と言えば、そろそろ麦茶の季節。こんな記事もご参考に。
大麦で、こんな食べ方も・・・
お釜で大麦パン。
大麦のビスコッティ。
参考資料
■食材健康大事典(時事通信社)
■キッチン食べ物事典(高橋書店)
■大麦で生活習慣病を予防しよう(大麦食品推進協議会)
■関連リンク
●麦茶で血液サラサラ、夏バテ防止(食と健康)
●21世紀のつぶつぶ栄養食品 雑穀(食と健康)
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