愛犬の老犬度はどのくらい?

犬の寿命は人間よりずっと短い分、老いも早くやってきます。なるべく早く老化のサインに気づいて、愛犬の状況に合ったケアをしてあげたいものです。

<INDEX>
老化のサインを見逃さない
睡眠の変化
意欲の変化
食欲の変化
トイレの変化
歩き方の変化
被毛・皮膚の変化
感覚の変化
アンチエイジングで老化を遅らせる

老化のサインを見逃さない

14歳のシェットランド・シープドッグ

少しでも健やかに過ごさせてあげたいシニア期。そのために、老化のサインにはなるべく早く気づきたい/ (c) PLY


一般的に小型・中型犬で7~8歳くらいから、大型犬で5~6歳くらいからシニア期に入ると言われてはいますが、犬の寿命も延びてきたことから、その年齢ではまだまだ若く、近年ではもう少し遅めになる傾向にあります(犬の年齢と寿命については、記事「犬の寿命と年齢の数え方」をご覧ください)。

そうは言っても、いつかはやってくるのがシニア期。それまでできていたことができなくなったり、寝ていることが多くなったり。そんな愛犬の様子に、ある日ふと老化を感じて寂しくなるかもしれません。

しかし、同時に、それだけ長く一緒にいられたという喜びと感謝も感じるのではないでしょうか。子犬時代とは違う、シニア犬ならではの可愛さ。そして、共に長い時を重ねたからこその愛情を改めて感じることでしょう。シニア犬との暮らしも、とてもいいものですよ。

そんな時を迎えたなら、これからはシニア期を少しでも楽しく、健やかに過ごすにはどうしたらいいのかを考えてあげなければ。

その前に老化のサインは見逃したくないもの。サインに早く気づければ、いろいろ気づかいしてあげられることもあります。その老化のサインにはどんなものがあるのでしょうか? それを、順を追ってご説明しましょう。


睡眠の変化

眠るシニアドッグ

寝ている時間が長くなったのは加齢のせいばかりとは限らない。関節の痛みや病気などが隠れていることも。


犬も高齢になってくると、寝ていることを好むようになります。耳が遠くなったり、周囲への興味が薄れたりして、一日中寝ているといった感じになってきます。生活の中で、たとえば次のようなことがあったら、それは老化からきているものかもしれません。ただし、それらが必ずしも老化のサインとは限らないというのも注意のしどころです。中には病気や他の原因による場合もあるので、気になる時には動物病院で診察を受けることをお勧めします。

■老化度チェック
□ 寝ている時間が多くなった。
□ 寝ている時に起こしても、なかなか反応しない、起きてこない。また、起きたとしても瞬膜(まぶたとは別に水平方向に動いて眼球を保護する半透明の膜)の戻りが遅いことがある。
□ 来客があったり、雷や騒々しい音がしたりしても、寝ているだけであまり反応しない。または一瞬、目を開けたり、首を起こして興味を示すものの、すぐにまた寝てしまう。
□ これまで専用の場所で寝ていたのが、家族のそばで寝たがるようになる。
□ 昼間は眠っていて夜起き出すというように昼夜が逆転し、徘徊したり、鳴き続けたりする(認知症の症状の一つ)。

意欲の変化

表情にも注意

シニア犬になってくると、表情もだんだんと乏しくなりがち。無理をする必要はないが、犬にとって少しでも楽しいものを見つけてあげたい。


若い頃はイタズラに励んだ犬も、高齢になってくるといろいろなものに興味を示さなくなってきがちです。年だから仕方ないなどとそのままにさせておくよりも、好物をオモチャや巾着のようなものに隠し、宝物探しゲームをやってみるとか、散歩に出る、他の犬友達と合わせてみるなど、無理のない範囲で脳や体にいい刺激を与えてあげたいものです。

■老化度チェック
□ 他の犬や猫などに、あまり興味を示さなくなった。
□ 来客や人の気配、大きな音などにもあまり反応しない。
□ 遊びはするものの、最初だけで、すぐに飽きてしまう、疲れる。
□ 散歩には行くが、それほど喜んでいる様子も見られない。
□ お出かけしても、すぐに疲れてしまう。


食欲の変化

食べる様子にも気配りを

シニア犬の場合、食器を置く高さを調節してあげたほうが足腰や関節、心臓などに負担がかかりにくい。


加齢するにつれて、犬も食事の食べ方や、体が要求するものが変化してきます。徐々にシニア犬に合った食事内容に切り替えてあげる必要もありますが、食欲や好みの変化で体の変調に気づくこともあるので、愛犬の食べっぷりなども観察することを忘れずに。

■老化度チェック
□ 食欲が低下してきた。食べ物にあまり興味を示さなくなった。
□ 逆に、食べ物に執着するようになった。いくら食べても食べ足りないというくらいに食べる。
□ 食べようとはするが、うまく食べられない。この場合、歯や口の中に問題がある可能性も。または、食器を床に置いていた場合、脚の踏ん張りがきかずに食べづらいということもあるので、食器を台の上に乗せて高さ調節をしてあげるといい。
□ 食べ物の好みが変わった。


トイレの変化

オス犬の場合、上げる脚の高さにも注目

オシッコやウンチは健康のバロメーター、毎日チェックを忘れないように。


加齢してくると膀胱をはじめとした内臓の筋肉も衰え、尿意を伝える神経伝達経路も若い頃のようには働かなくなってきます。そのためにオシッコやウンチの仕方に変化が出ることがありますし、場合によっては病気の影響でそうなることも。粗相もしやすくなってきますが、加齢からくるものであるなら、叱ったりせず、愛犬に合わせた対処をしてあげるのがいいのではないでしょうか。

■老化度チェック
□ トイレが我慢しづらくなってきた。さっきしたばかりなのに、またしたがる、など。
□ トイレトレーニングはしっかりできていたのに、粗相をするようになった。
□ オシッコをちびり、ちびりと少しずつ出す。
□ オシッコの回数・量が減った。活発に動き回らなくなった分、飲水量も減る傾向にある。
□ ウンチの量が少なくなった。排便姿勢はとるものの、なかなか出ない。食事量も減り、内蔵の働きも弱ってくることから、ウンチが出にくくなることがある。

歩き方の変化

シニア犬でも散歩は大事

散歩の途中で座り込んでしまう、歩きたがらないという時には関節にトラブルがある場合も。脚の幅や頭の位置などもチェックを。


犬も高齢になると、人間同様、足腰が弱ってきます。おぼつかない足取りに散歩も無理かな?と行かなくなるのは逆効果です。適度な運動は関節を柔軟に保ちながら筋力を維持するとともに、血液循環のためにも必要なので、様子を見ながら無理のない範囲で行ってあげましょう。

■老化度チェック
□ 歩き方に覇気がなく、とぼとぼとした感じで歩く。
□ 歩くスピードが遅くなった。
□ 歩く時に足先を地面に引きずることがある。
□ ちょっとした段差、または何もないところでも躓いたり、転んだりすることがある。
□ フセや寝ている姿勢から、立ち上がるのに時間がかかる。または、立ち上がれない。床が滑りやすい状況であると、それが顕著。
□ 階段の上り下りが上手にできなくなった。または上り下りができない。
□ 寝て起きた後に、どれかの脚を引きずる、床につけないというようなことがある。
□ オス犬の場合、オシッコをする時に脚を上げづらくなった。


被毛・皮膚の変化

犬の白髪

不安症や音響シャイをもっている犬では、若いうちから白髪が出る傾向にあるという研究結果もあった(*)。また、サマーカットを繰り返していると、シニア期になってから冬季に被毛が伸びないという犬もいるのでほどほどに。


犬も人間のように被毛や皮膚に変化が出てきます。日頃のお手入れの際にさりげなくチェックをするようにしたいですね。

■老化度チェック
□ 白髪が目立つようになった。濃い毛色の犬の場合、被毛の色が薄くなった。
□ 被毛の伸びが悪くなってきた。
□ 被毛がパサついている。
□ 皮膚の張りがなくなってきた。
□ フケが目立つようになってきた。
□ できものができやすくなった、皮膚病になりやすくなった。


感覚の変化

嗅覚

犬は匂いを嗅ぐのが大好き。嗅覚を刺激した遊びで老化予防にも。


そして、体の機能も衰えてきます。犬の五感の中で最後まで残るのが嗅覚と言われますが、シニア犬になっても嗅覚を使った遊びやゲームを取り入れてあげると、適度な運動と同様、いい刺激となり、それが脳を活性化させて老化予防にもつながります。

■老化度チェック
□ 眼が白く濁ってきた。白内障には加齢と関連するものの他、先天性や若齢性、糖尿病の影響、ケガなどによるものもある。
□ 視力の低下。動くものを目で追わなかったり、暗いところで何かにぶつかったり、ものがよく見えていないように思える。視力が気になる場合、犬に気づかれないように目の前でティッシュを1枚落とし、それを目で追うかどうかを見る簡易的視力テスト法もある。
□ 聴力の低下。名前を呼んだり、大きな音がしたりしても、あまり反応しなくなった。

アンチエイジングで老化を遅らせる

ダックスフンドのシニアドッグ

滑りやすい床は関節や背中に負担が。若い頃から環境を整えておくことも大事。


アンチエイジングや健康寿命という言葉がよく聞かれるようになりましたが、犬であっても同じことが言えます。老化を遅らせ、少しでも健やかにシニア期を過ごすには、若い頃からのケアが大切。シニア期になってから慌ててあれこれ対処するよりも、若い頃からその時々のベストな状態を維持できるように努力してあげたいものです。

たとえば、食事管理。食は健康な体をつくる源です。年齢やライフステージ、愛犬の健康状態に合った内容のものを考えてあげたいですね。

食事といえば、食後の歯磨きも大事です。3歳以上の成犬のうち、約80%が歯周病をもっていると言われる現代の犬たち。人間の口の中はpH5~7の弱酸性~中性であるのに対し、犬の場合はpH8~8.5の弱アルカリ性であることから、虫歯菌が繁殖しにくく、虫歯にはなりにくいと言われてはいますが、逆に歯石ができやすい口腔内環境になっています。そもそも歯周病を放置してしまうと、やがては内臓疾患に影響を与え、免疫力が低下したり、歯を支える骨を溶かしてしまったり、最悪、下顎の骨が折れてしまうようなケースもあります。体全身の健康にも影響するので、若い頃から歯のケアも忘れませんように。

また、被毛や皮膚のケアはもちろん、関節や歩き方などのチェックも忘れずに。愛犬の関節はどの程度動くのか、関節が熱をもっていないか、痛がっていないかなど、普段からチェックしてあげるといいでしょう。元々関節に懸念がある犬では、サプリメントを併用してみるのもいいのではないでしょうか。ただし、サプリメントは薬ではなく健康食品ですので、それだけに頼るというのはNG。補助的効果のあるものとしてとらえ、食事や運動、生活環境など、生活面全体で対処するのがベストです。

なお、滑りやすく、かつ硬い床は犬の関節に負担をかけます。若いうちは大丈夫であっても、加齢するごとに影響が出てくることがあるので、生活環境も考慮してあげたいですね。

散歩や運動は、やり過ぎはかえって体を痛めますが、適度な運動は筋肉を維持し、ストレスの発散にもなり、精神面にもいい刺激を与えます。無理のない範囲で、楽しく散歩を。

そして、できるなら、半年に1回、少なくとも1年に1回は健康診断を受けることをお勧めします。見た目からはわからない体の変化にも気づけますので。

老化というと、ずっと先のことのように思えるかもしれませんが、この世に生を受けたものは生れ落ちたその日から、すでに老化に向けて進んでいるのです。将来をある程度予測し、予防できるものは予防して、元気なシニア犬生活をお迎えください。


(*)Anxiety and impulsivity: Factors associated with premature graying in young dogs / Camille King et al. / APPLIED ANIMAL BEHAVIOUR SCIENCE, Deember 2016 Volume 185, Pages 78–85, doi: http://dx.doi.org/10.1016/j.applanim.2016.09.013

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