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老犬の徘徊対策にサークルを手作り! 老犬・高齢犬のための介護用品

老犬・高齢犬との暮らしには「ちょっと困った……」という問題はつきもの。そんなときは、お悩みをサポートしてくれる介護用品を上手に活用しましょう。老犬の徘徊対策に使える、サークルを手作りする方法もご紹介します!

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

老犬・高齢犬との暮らしをサポートしてくれる介護用品

老犬の徘徊対策にサークルを手作り! 犬の介護用品

老犬の徘徊対策にサークルを手作り! 犬の介護用品

近年では、人でもペットでも「健康寿命」という言葉を耳にするようになり、少しでも健康でいられる時間を長くしようと言われますが、それは目標、理想であって、やはり現実的には高齢になるにしたがい、いろいろと気をつけねばならないことや、困った問題も出てくるものです。

こと介護が必要になってくると、生活状況も、必要なものも変ってきます。この記事では、愛犬の介護生活に役立つであろう、または役立つかもしれないグッズ類を、手作り品、市販品、織り交ぜていくつかご紹介します。
   

安眠できるベッド

■ベッド
犬も高齢になると寝ている時間が多くなります。特に、寝たきりになった犬には、床ずれを起こしにくい素材のベッド・寝場所を用意してあげたいものです。

近年では、体圧分散効果から床ずれになりにくいという高反発マットが注目されるようになっています。高反発である分、寝返りも打ちやすく、犬の起き上がりを助けてくれるのは利点です。<市販品> とは言っても、睡眠に問題のある犬など体が包まれる感のある低反発マットを好むこともあり、また、床ずれができた部分のみ低反発マットを使用するという飼い主さんもいます。

高反発マットは体が沈み込みにくいという特徴がありますが、寝ていても体がバタバタ動いてしまう犬の場合は、沈み込みにくいがゆえに摺れることで床ずれが起こる可能性もあるかもしれません。加えて、高反発マットは厚さや硬さによって体感度が違うと言いますし、反発度が高過ぎると、逆に床ずれ発生リスクが高まってしまうのでは?という気もします。

ベッド選びには上記のように床ずれ予防の他、痛みが軽減できる(老犬では関節症をもっていることが多い上、持病で痛みがある場合も)、よりよい睡眠ができる(認知症があると睡眠サイクルの問題もある)など、犬の状態によって優先するポイントが多少違ってくることもあるでしょう。

したがって、高反発マットと低反発マットとどちらがいいのか?ということではなく、犬の状況により、何を優先するかでケースバイケースなのではないかとガイドは考えています。もし、これからガイドが愛犬のベッドを選ぶとしたら、主に以下のようなポイントはチェックしたいと思います。
 
  • 反発度が高過ぎず、沈み込みも深過ぎない
  • 適度な厚みがある
  • 通気性がいい
  • 洗濯が楽で、乾きも早い
可能であれば、実際に商品を触って確認できればベストですね。現在ではいろいろなタイプのベッドが出ているので、愛犬にぴったりのベッドに辿り着くまでには、いくつか試行錯誤を重ねることになるかもしれません。

■付属品
なお、歩行にふらつきのある犬(主に小型犬)では、子ども用の簡易プールの中にベッドをつくることで、転倒やケガ防止にもなります。

また、意外に重宝するのがクッション。周囲をクッションで囲ってあるベッドもありますが、バスタオルを巻いたものやビーズクッション、愛犬に合わせて手作りしたクッションなど、あごを乗せることで呼吸が少し楽になったり、寝たきりの犬をフセや立ち姿に近い姿勢に保持する時に安定材として使ったり(筋力維持にもつながる)、何かと使い道があります。<市販品>
 
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床ずれ予防・ケア

■ドーナツ枕
ドーナツ枕

床ずれの傷を保護するクッション。ただし、逆に周囲を圧迫し、傷が治りにくくなる場合もあるので、使い方には注意を:(C)LM

床ずれができてしまった時に傷を保護する、またはその兆候が見られた時に床ずれを予防する目的で使うドーナツ枕。柔らかい布の中に綿を詰めたり、気泡緩衝材(気泡シート)を何枚か重ねてドーナツ型に丸くカットし、それを布や包帯などで包んだりすることで簡単に手作りできます。<手作り>

ただし、傷の周囲が圧迫されることで、逆に傷が治りにくいという場合もあるので、使い方には少々注意を要します。使用したい場合には、一度動物病院で相談するといいでしょう。

■包帯
床ずれができやすい脚の部分や、脚をバタバタさせてケガをしやすい時など、傷の保護のみならず予防としても使える包帯の類いは常備しておくと何かと便利。伸縮性と粘着性のある包帯がお勧めです。その他、靴下も傷の予防・保護、冷え対策として使えます。<市販品>
   

歩行サポート

■歩行補助介護服
歩行補助介護服

歩行を補助する取っ手の付いた手作り介護服:(C)LM


上の写真は、歩行を補助するためのもち手が付いた介護服を着て散歩をしている高齢のシェルティーです。介護服は飼い主さんによる手作り品で、着脱しやすいように背開きになっています。<手作り>

同じサイズの犬であっても、筋力の落ち方や負担のかかる場所など状態は様々なので、同じ歩行補助グッズが他の犬にも合うとは限りません。また、犬の状態も日々刻々と変化していくので、これまで合ったものがその後もずっと合うとも限りません。

市販品を購入し、その犬に合っており、何も問題がないのであればもちろんそれでいいのですが、自分の愛犬の、その時々の状況に合ったものを手作りしてあげることができるなら理想的でしょう。手作りが可能な人はトライしてみるのもいいのではないでしょうか。

■起立・歩行補助帯
起立・歩行補助帯

犬の状態によっては、着物の帯のように、中に芯のあるもののほうが楽な場合もある:(C)LM


これも手作り品で、主に立ち上がる時の補助を目的としたものです。バスタオルやタオルだけでも起立・歩行補助をすることは十分可能ですが、犬の大きさや状況によっては、柔らかい素材&作りのものであると時に圧力が一部分にかかり、かえって苦しくなったりして不向きなこともあります。

この起立補助帯は、着物の帯にヒントを得て作られており、腹部になるべく負担がかからないよう、中には芯が入っていて、お腹にあたる部分を補強してあります。さらに、洗濯しやすいようにと、その上にタオルのカバーが付けられています。<手作り>

■ズボン・靴下型歩行補助グッズ
靴下型歩行補助グッズ

靴下のように後ろ足にはかせるタイプの歩行補助用品。古いトレーナーの袖部分を代用してもOK:(C)LM


同じく手作り品で、体全体を持ち上げるというより、ズボンや靴下のイメージで、後ろ脚にはかせて歩行を補助するものです。部分的にポケットが付いており、倒れたり横になったりした時に、体を保護できるようクッション素材が入っています。<手作り>

これら3つの写真を見ておわかりのように、同じ歩行補助グッズでも、その犬の状況によって使いやすいタイプというのが少しずつ違ってきます。実際、老犬介護サービスに従事する人であっても、その犬にぴったりのものを見つけるまでにはそれなりに時間がかかるといいます。

胴全体を支えたほうが歩きやすいのか、それではお腹を圧迫し過ぎて苦しいのか、前脚はまだ強いので、とりあえず後ろ脚を支えたいのか、逆に前半身を重点的に支えたほうがいいのか、歩くことはままならないので、立ち上がるためだけに使いたいのか。

自分の愛犬がどういう方法で支えたらより楽になるのか、それを見極められるように努力をしてみてください。そのためには、いくつかのタイプを試す必要があるかもしれません。

■歩行補助ハーネス
参考までに、歩行補助グッズは市販品も出ています。ベストタイプ、ハーネスタイプ、腹巻のように胴を支えるタイプ、後ろ脚を重点的に支えるタイプなど、形や種類もいろいろあります。

市販品の場合、微妙なサイズの違いがその犬には合わない、素材が柔らか過ぎる、硬過ぎるなど、ちょっとしたことが合わずに介護用品の役目を果たさない、逆に犬に苦しい思いをさせてしまうということもままあるので、サイズや素材、調整がきくか、合わない時には交換が可能かどうかなど、吟味して購入することをお勧めします。<市販品>
   

移動サポート

■車椅子
歩くのが難しい犬の歩行を補助し、自力での移動を可能にしてくれるのが車椅子です。基本的には、前脚がまだしっかりしている犬では2輪タイプ、4本の脚ともがうまく動かせない犬では4輪タイプが使われます。中には、もともと2輪タイプであるのを、状況によって4輪タイプに変更が可能な車椅子もあります。

オーダーメイドや、サイズが何種類かあってフィット感を調整できるものなどありますが、費用的にも安い商品ではありませんし、微妙な点が合わないということもあるので、可能な限り試乗してみることをお勧めします。<市販品>
  とは言っても、車椅子は最終的に使うものというイメージがあり、使用するかどうか判断に迷うことがあるのではないでしょうか。実際には、車椅子にしろ、歩行補助グッズにしろ、なるべく早めに取り入れることでリハビリ効果が期待でき、その分、寝たきりになるのを遅らせることができるかもしれません。

ガイドがこれまで取材した中でも、一時期車椅子を利用した後、自力で歩けるように戻った犬もいました。もちろん、犬の状況や車椅子のタイプ(作り)、他にどんなリハビリをしているかなどによって違いますが。

■介護用移動・お散歩カート
お散歩や通院時など、寝たきりの犬でも運べるカートです。中型・大型犬の場合は荷物を運ぶ台車を改良して利用することも可能でしょう。<市販品>

たとえ歩行が困難になったり、寝たきりになっても、外の空気や匂い、音、または(無理のない範囲で)他の犬とふれあうことは脳を刺激し、活性化するとともに、心身にいい影響を与えてくれます。無理に連れ出す必要はありませんが、可能な範囲で、少しでもいい刺激を与えてあげたいものです。
  ■スロープ
足腰が弱った高齢犬がソファや車など段差のある場所を上り下りするには、補助階段やスロープを利用すると少しは負担を軽減させてあげることができます。

ただし、犬の大きさや体重・体高、足腰の動き加減、また補助階段やスロープの作り・素材によっては、段差がきつい、スロープでは滑るなど、逆に合わないこともあるので、市販品を選ぶ場合には、愛犬の条件と商品の作りを吟味して購入を。ガイドとしては階段タイプであるなら、犬のサイズにもよりますが、極力段差が低めで、段の奥行があるものがいいと思っています。<市販品>

DIYができる飼い主さんであれば、板に滑り止めマットを張り付ける、愛犬に合わせた段差で階段を作るなど、手作りも十分可能だと思います。
   

食事サポート

■食事台
食器台

ちょうどいい高さの食事台を用意してあげると、ごはんも食べやすくなる:(C)LM


普段、食器を床に置いていた場合、老犬ゆえに足の踏ん張りがきかなくて食べづらい、首や肩などに負担がかかってしまう、というようなことがあります。

体に余計な負担をかけないためにも、その犬にとってちょうどいい高さの食事台を用意し、その上に食器を乗せてごはんを食べさせてあげるといいでしょう。食事台は、木材やダンボールなどで手作りすることもできます。<手作り>

なお、食欲はありそうなのに食べないという場合、床が滑りやすくて足が踏ん張りきれずに、食べたくても食べられないというケースもあるので、愛犬の足腰のためにも、床は滑りにくいものにする、または滑り止めのマットを敷くなどの対策を。

■高さ調整機能付き食器台
市販品でも食器台はいろいろな種類が出ています。高さが合うか?という不安もあるでしょうから、高さ調節ができるタイプであるといいですね。高さが決まってしまっているものでは、愛犬に合った高さのものをお選びください。<市販品>
 

■シリンジ

食事が流動食となった場合や、自力で水が飲めなくなった場合に使えるのがシリンジです。動物病院でも分けてもらえると思いますが、市販品もあります。<市販品>
 

ただ、流動食となるとシリンジでは先が細くてなかなかうまく出ないことがある他、大型犬ともなるとシリンジでは水を与えづらいこともあり、かえってハチミツの容器やドレッシングボトルのほうが使い勝手がいい場合があるので、愛犬の口のサイズや流動食の形状によって選んでみてください。<市販品>
 

    

サークルを手作りして老犬の徘徊対策

■お風呂マット(サークル)
お風呂マットで作ったサークル

お風呂マットをつないで円形状にし、その中を歩かせることで徘徊に対処:(C)LM


徘徊が見られる場合、お風呂マットをガムテープでつなぎ、円形にした中で歩かせておくとケガの予防にもなり、気が済むまで歩かせてあげることができます。<手作り>

■お風呂マット(シート状)
お風呂マットで簡易ケガ予防柵

お風呂マットは完全に円形状につなぐのではなく、1枚のシート状にもできるようにしておけば、家具や柱、家具などによるケガ防止柵としても利用できる:(C)LM


お風呂マットは完全に円形にするのではなく、分割できるようにしてつないでおけば、写真のように家具や柱、家具などでケガをしないように、保護シートとしても使うこともできます。市販品でもメッシュ素材でできたサークルなどありますが、お風呂マットは必要な広さの分、手作りできるのは利点です。<手作り>

小型犬~中型犬であれば、子ども用の簡易プール(丸型)の中で歩かせることもできるでしょう。
 

排泄

オムツを使用する場合は、常時付けっぱなしであるとかぶれたりすることがあるので、留守にする時や夜間など、なるべく必要な時に使用するようにしたほうが無難でしょう。

しっぽの穴や脚の付け根(太腿)の隙間から漏れてしまうこともあり、その部分がぴったり合っているかもチェックポイントです。

犬用オムツの他、人間の子ども用や介護用のオムツにしっぽの穴を開けて代用することも可能です。かえって人間用のほうがフィットする場合もあるので、愛犬に合うサイズ・作りのオムツを探してみてください。<市販品>
  また、寝たきりの犬の場合は、オムツをはかせるより、体の下にトイレシートを敷いて対処するほうがいいと思います。メス犬ではお尻よりやや後方気味に、オス犬ではやや前方気味にシートを敷くといいでしょう。いずれにしても、お尻周りを拭くことが多くなるため、周囲の被毛は短くカットしておくとお手入れが少し楽になります。


以上、介護グッズをいくつかご紹介しましたが、介護生活においては、飼い主さんにも体力的・精神的・金銭的負担が多かれ少なかれかかります。少しでも負担を軽くするという意味でも、身の回りの品で代用できるものは、自分の愛犬に合わせて手作りしてみはいかがでしょうか。それに市販品をうまく組み合わせて、愛犬にとっても自分にとっても少しでも楽になる方法を考えてみてください。


【取材協力・画像提供(手作り介護グッズ)】
レディのおうち
◆ここでご紹介した手作りグッズはすべてレディのママさんのオリジナルです。個人での使用を除いて、無断での転載・商用への流用などは固くお断りします。

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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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