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猫の去勢と避妊(9ページ目)

発情による猫のストレスやケンカ、スプレーなどの問題行動を減らすために、そして病気を防ぐためにも避妊・去勢手術は有効です。不妊手術方法や術後管理などについて紹介します。

岩田 麻美子

執筆者:岩田 麻美子

ネコガイド

術後の注意

完全に麻酔が覚めるまでは、獣医師の管理下に置かれます。麻酔後は胃腸が正常に働き出すのに時間がかかるため、食べたものを吐いてしまうことがあり、通常は術後半日程度絶食が必要となります。通常は手術中に輸液補給されているので、絶食させても大丈夫です。

猫の性格によっては見知らぬ場所(病院)にいるストレスや、自分に身に起こったことが理解できずショック状態に陥って、飼い主でさえ拒む風をみせることがあります。また、一般的に猫は痛みを感じにくい動物だといわれますが、動くと傷口がつれるでしょうし、全く痛みを感じていないわけはないでしょう。

自宅に帰ってきて飼い主がかまおうとしても嫌がるそぶりを見せたら、刺激しないようにしましょう。もし、ショックを受けてない風だとしても、数日間は激しい運動をさせない方が良いでしょう。

メスは傷口に絆創膏を貼られたり、退院時に腹巻きのような胴衣を着せてられる、エリザベスカラーという首に装着する傷口をなめさせないための器具を渡されることがあるでしょう。猫に傷口を舐めたり糸を引っ張って傷口を開かせないようにするために必要です。

我が家の経験では、胴衣が一番安全かな?と思っています。エリザベスカラーをつけると、尻込みして固まったり、家具にぶつかって前に進めなくなったり、床の上のお皿に口を付けたくてもカラーが邪魔してできないなど、猫によけいなストレスを与えるような気がします。もちろん、中にはカラーをつけても全然平気な子もいますので、その場合はカラー装着が安全でしょう。しかし、多頭飼いの場合は身体に大きなエリザベスカラーをつけた見慣れない姿に、他の猫がパニックになったり喧嘩をふっかけたりということもあります。注意してください。

どちらにしても、猫が自分で傷口を舐められなければ良いので、あまり自分の身体をかまわない(グルーミングをしない)子の場合は、何もつけなくても抜糸まできれいな傷口を保つことができるでしょう。神経質な子は自分で舐めて糸を引き抜いてしまい、再度縫合ということもありますので、傷口を舐めさせないように工夫してください。もし糸が取れてしまったり、舐めすぎて患部がただれたときは、早急に診察をお願いしましょう。

消毒は特に必要ありません。病院によっては、退院時に2~3日分の抗生物質を処方されるます。出されたお薬はきちんと時間を守って最後まで飲ませてください(薬を処方されない病院もあります)。

術後3日くらい経っても元気・食欲がなくトイレもあまり使いたがらないようなときも、診察を受けた方が安心できるでしょう。しかし、エリザベスカラーをつけることで動かなくなってしまう猫もいるので、一度はずして様子を見て、それでも具合が悪そうなときは早急に先生に相談してください。

もしオス猫とメス猫を飼っていて、オス猫の手術を済ませ帰宅したら、メス猫に発情が来ていて交配しちゃいましたなんてことになったら。メス猫が妊娠する可能性は非常に高いですのでご注意を!

手術をしてもオスの体内には精子が残っていて、約24~72時間生きている可能性があります。もし発情中のメスがいる場合は、手術後1週間はオス猫と離しておいた方が無難でしょう。

長期的な術後の管理を

不妊手術をすると太りやすいといわれます。卵子や精子を作り出すエネルギーが消費されなくなりますし、性本能による行動もなくなり、代謝が落ちますから肥満になりやすくなるのは当然です。

発情が来てから、発情中など性ホルモンが活発化しているときに手術をすると、ホルモンの不均等が起こりやすく、肥満傾向の拍車がかかるという説もありますので、可能であれば不妊手術は、性の目覚めの前に行いホルモンのアンバランスを事前に防ぐ方が肥満になりにくいかもしれません。

どちらにしても、術後体力が回復したら徐々にカロリーの少ない食餌に切り替え、今まで以上に遊んであげて運動させましょう。

さて、ここまでで猫の不妊手術に関して、かなり詳しい内容をお伝えしてきました。どんなことも自分がその内容をきちんと理解することから始めた方がよいのでは?と思います。手術が怖い、麻酔はイヤだと感情論だけで不妊手術を拒否しないでください。責任を持って面倒を見ることができない子猫を産ませないために、大切な自分の猫の将来的な健康状態を安定させるために、不妊手術は必要ではないか、とわたしは思います。

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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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