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猫の去勢と避妊(7ページ目)

発情による猫のストレスやケンカ、スプレーなどの問題行動を減らすために、そして病気を防ぐためにも避妊・去勢手術は有効です。不妊手術方法や術後管理などについて紹介します。

岩田 麻美子

執筆者:岩田 麻美子

ネコガイド

メス猫の不妊(避妊)手術方法

メス猫の不妊手術には様々な方法があります。手術前にどの方法をとるか、主治医の先生とよくご相談ください。

  1. 卵巣子宮摘出術
    開腹して卵巣と子宮をすべて摘出します。卵巣を摘出するとホルモンの影響を受けないので、発情しなくなります。子宮も摘出しますので、子宮に関する病気(子宮内膜種・子宮蓄膿症・腫瘍など)にかかりません。
  2. 卵巣摘出手術
    開腹して卵巣だけを摘出します。発情がなくなります。とはいえ、卵巣という臓器はほんのわずかな細胞が残っていても再生する能力が高いため、もし細胞が残っていれば卵巣摘出をしたはずなのに発情が起きることがあります(妊娠はしません)。卵巣摘出手術の利点は、卵巣・子宮摘出手術に比べると手術が短時間で傷口が小さくて済みます。
  3. 卵管結さつ手術
    開腹して卵管を糸で縛ります。妊娠はしませんが、発情は起きますし、卵巣や子宮のホルモン関係の病気にかかる可能性が残されます。手術も難しいので、この手術をする意味はないと思います。
  4. ジースインプラント(インプラント埋込)手術
    麻酔をかけ背部分の首の毛を刈り、切開し皮膚内に酢酸クロルマジノンを成分とする黄体ホルモンの入ったカプセル状のものを埋め込みます。この手術の利点としては、手術が短時間で済み、インプラントしたものを除去すれば妊娠が可能になります。しかし、臓器はそのままですし、黄体ホルモンを放出させ常時疑似妊娠状態をコントロールしているので子宮蓄膿症などを併発する確率が非常に高くなります。動物用医薬品としての承認は発情抑制剤としてなので、メスにのみ適応されます。

    この手術の注意としては、発情中はインプラントを埋め込むことができません。猫用は薬効が1年なので、一度埋め込んで1年度に取り出しまた埋め込む手術が必要となります。薬効期間を過ぎたものを埋め込んだまま放置しておくと子宮蓄膿症などの罹患率がかなり高くなるそうです。また、インプラントが埋め込まれた位置からずれてしまうこともあり、取り出すときにやっかいなことになる可能性もあるそうです。副作用として、体重の増加や、ときに脱毛、子宮蓄膿症、軽度の乳腺の発達を起こすなどが確認されています。
  5. ホルモン剤の投与
    日本では手に入らないと思いますが、欧米では飲ませるタイプのホルモン剤を投与することがあります。主にブリーダーが使っているようです。これもジースインプラントと同じような黄体ホルモンを飲ませて、疑似妊娠状態を保つのではないかと思います。しかし、ホルモン剤投与をやめた後の妊娠で、猫によっては奇形児を出産する報告例があります。ホルモン剤投与を中止して、どの程度期間を空けて妊娠させると問題がないのかは、その猫それぞれの個体差によって違いがあるようです

ちなみに我が家では、避妊手術は必ず卵巣子宮摘出をお願いしています。卵巣を取り除くことで、ホルモンに関わる病気の発症率は非常に低くなりますが、前述の通り卵巣が再生してしまう可能性や、わずかな確率とはいえ臓器が残っていることで子宮に病気が発生する不安を残したくないからです。

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