雑貨/ハンドクラフト・工芸

鳥取の手仕事を巡る旅1 民芸美術舘編(2ページ目)

鳥取へ行ってきました!景色も良く食事も美味しい魅惑の地。そして鳥取は、民芸の流れを汲む手仕事の盛んな地域だったのです。まだまだ知られざる「ディスカバー鳥取」大特集!数回に分けてお届けします。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド

鳥取をはじめ全国の民芸が集まる「たくみ工藝店」

普段の暮らしに気軽に使える、美しい品々がいっぱい。
民芸美術舘で暮らしの美を堪能した後は、お隣のたくみ工藝店へ向かいます。 ここは昭和7年にできた、日本で最初の民芸店です。 その当時は工業製品がどんどん増えていった時期で、地元の窯も痩せていきました。 吉田璋也氏は窯元へ自ら出向き、自身が集めた古い民芸品を 持っていって見せ、もの作りのプロデューサーとして活動していたそうです。

民芸を理解し、その伝統を引き継ぎながら、現代のライフスタイルに合った もの作りを実践する作り手たちの作品が、一堂に集まっています。 美と生活を結ぶこと、がこの店のコンセプト。 手の届く価格帯でありながら、丁寧で味わい深い作りが眺めていて心地良く、 使い勝手にも細かな配慮がなされている、芸術と実用を両方兼ね備えた品々が、 たくさん並んでいました。



店内
種類豊富な陶芸品のほか、和紙や布、ほのぼの愉快な郷土玩具もあります。


吉田氏プロデュースの牛ノ戸焼脇窯として生まれた、因州中井窯の食器(緑と黒のツートーン)は、世界的工業デザイナー・柳宗理氏のディレクション作品として有名です。また、吉田氏に強い影響を受けたという延興寺窯や、 山根窯などもあります。 間口はそれほど広くないのですが、奥までぐんぐん部屋があって見ごたえあり。 日本のほか、アジアの手工芸品も並んでいます。階段を上がって2階も あるのでお見逃しなく。私たちが訪れたときは、日本各地で作られるかごの展示即売が行われていました。

かご展

様々な素材のかごが集まっていました。右上は蒲を編んだもの。


すぐにも毎日に取り入れられそうなものばかりなので、 思わず財布の紐がゆるゆるとたるんでしまいますが、 あまり躊躇せず気軽に買える価格なところも嬉しい。 誰だって、美しいものを使う権利があるのです。 小皿など持ち帰りやすいものもあるので、家族や友人へのお土産にも良さそうです。

お菓子

すっと爽やかな生姜の香りと軽い歯ざわりが美味しい。


吉田氏は民芸品ばかりでなく、お菓子までプロデュースしておりました。 箱のデザインも素敵な、宝月堂の生姜せんべい。 「冬の鳥取砂丘にうっすらと雪が積もった姿」をイメージした という、生姜風味の砂糖衣がさあっと表面に塗られています。 ぽりぽりと食べ始めると止まらない、後を引く味です。 たくみ工芸店でも販売していますが、宝月堂はその他のお菓子も かわいらしいので、機会があれば店へも訪れてみてください。


たくみ工藝店
鳥取県鳥取市栄町651
tel 0857-26-2367
10:00~18:00 水曜休

宝月堂
鳥取県鳥取市二階町3-121
tel 0857-22-3745
8:30~18:30 日曜・祝祭日休


生活美術館「たくみ割烹」

味わいのある佇まいの料理店。
いいものを観て、ほくほく買い物も済ませたら、さて今度はおなかが空いてきました。 たくみ工芸店のお隣にあるのは「たくみ割烹」。心を満たした後は、すぐにおなかも 満たしてくれるなんて、 本当に至れり尽くせりです。 しかもこのお店はなんとしゃぶしゃぶ発祥の地。 中国で軍医として従事していた吉田氏が(ここでもまた!) 現地で食べたシュワヤンロウという羊肉のすすぎ鍋から考案した料理なのです。 だからここではしゃぶしゃぶと呼ばず、今でも「すすぎ鍋」と呼ばれています。 (しゃぶしゃぶというネーミングは、大阪にある料理店スエヒロが名付けて広めたそうです)。 因伯牛(鳥取和牛)を使っており、ゴマを主体にしたタレに付けて食べます。

店内
店内の調度品も全て民芸デザイン。落ち着きます。


たくみ割烹は民芸美術舘の延長として、美しい道具を使って楽しみ、 観るだけでなく、五感で味わうための生活的鑑賞美術館なのです。 器は全て隣りのたくみ工芸店で扱っているものばかり。 実際に使っている姿を見てしまうと、また物欲が増してしまいそうですが、 普段の暮らしをちょっぴり豊かにする器使いのお手本を、 ここで体験できるのはありがたいことです。

料理
箸袋に書かれた「ようこそ、ようこそ」の文字が愛らしい。


取材を忘れて食べることに夢中になってしまったため、写真がやや暗めですが(すみません)、 料理は地元の海の幸、山の幸を取り入れ、旬を生かしたとても美味しいものでした。 お米も鳥取産のコシヒカリを使用しています。冬は松葉ガニもあるとか。 今回訪れたのは初夏ですが(ちなみにこの時期は牡蠣が旬!)、 冬の味覚を味わいにまた来たいなあ、と思ってしまいました。 あ、器ももちろん素敵でして、料理のじゃまをせず、ふわりと包み込むような、 素朴で大らかなものでした。



たくみ割烹
鳥取県鳥取市栄町652
tel 0857-26-6355
昼 11:30~14:00 夜17:00~22:00 第3月曜休



鳥取の情報は以下が便利です。

鳥取県観光情報  http://yokoso.pref.tottori.jp/
とっとりの手仕事HP  http://www.pref.tottori.lg.jp/teshigoto/


第2弾では、陶芸窯元巡り1、岩井窯をご紹介
第3弾では、陶芸窯元巡り2、山根窯、因州中井窯、福光焼等をご紹介
第4弾では、木工、和紙、郷土玩具など様々な工芸品をご紹介


★倉敷民藝館の取材記事も一緒にご覧下さい。
倉敷民藝館で、暮らしの道具を味わう


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