見渡す限り緑!風光明媚な世界が続く。
鳥取特集第2弾は窯元巡り。 鳥取にはたくさんの陶芸の窯元があります。 人里離れた山の中にあることも多いので、あんまり目立たないのですが、 静かに土と向き合って、コツコツと制作を続ける陶芸家が多く存在するのです。 だからいわゆる陶芸村のような賑やかな場所はないし、 そのため流行に左右されることもあまりありませんが、 ぽつんぽつんと鳥取中に点在する窯元では、誠実で力強い、 心に響くような器を作っている方がたくさんいらっしゃるようです。
民藝運動に影響を受け、18歳から陶芸の道へ
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煉瓦敷きに太い梁、古い壺。洗練された佇まいです。 |
広々と気持ちいい空間。展示館、参考館、食事処と喫茶が並んでいます。
岩井窯の主である陶芸家・山本教行さんは、 16歳で鳥取の民藝運動の先導者・吉田璋也氏に出会います。 その後、やはり民藝運動と関わりの深いイギリスの陶芸家・バーナード・リーチ に会って、陶芸家を志すことを決意。 18歳で島根県の出西窯に入り、3年後に独立します。 以後現在まで30年を越えて、この地で焼き物を作り続けています。 自然に囲まれた清々しい空間の中、気さくに穏やかな口調で語る山本さんの人柄に、 旅の疲れがすうっと和らぐようでした。
自分の手から目の前にいる人へ、直接器を届けたい
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窓の外は緑の借景。器とのコントラストが美しいのです。 |
言われなかったらどこの国か分からない、無国籍な雰囲気です。
山本さんのつくる焼き物は、使ってこそ生きる器。 ただ飾っておくのではなく、自分の毎日の生活に役立つものを 選んで欲しいといいます。 他の器がたとえ100円ショップで買ったものでも、 暮らしの中でそれらをうまく組み合わせて、自分らしく楽しんでもらえれば 、それでよいのだとか。 日常的に使いやすいよう、オーブンや電子レンジOKの器も多く揃っています。
使う姿を想像できるような頼もしい器たちに、目が泳いでしまいました。
岩井窯の器は、基本的にこの場所と、各地でときどき開かれる作品展でしかお目にかかれません。 お店に卸すことはしておらず、ネットでの販売もやらないそうです。 直接顔の見える販売がしたい、というのがその理由。 器に対する徹底的に誠実な姿勢がうかがえます。 それでも全国からこの場所を訪ねてくる客人は多く、 旅の疲れを落としてゆっくり気持ちよく過してくれるよう、 おもてなしに心を砕きます。 時にはコンサートやライブ、料理やお茶を楽しむ会など様々なイベントも開催。 自然溢れる空間で、1日いても飽きない場所です。
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