「陶芸窯元巡り2」では、いくつかの窯元をご紹介します。 (1では岩井窯をご紹介しています)。 元々器を見ることは好きでしたが、魅力的な器たちが、どんなところで、 どんな風に、どんな人によって作られているのか、というのを知ることは最も興味深いこと。 高まるテンションと欲望を押さえつつ、ひとつひとつを巡ってきました。


山根窯 石原幸二さん

山根窯
どこかエキゾティックで民族的な器とインテリア。
今回こちらへ伺うのをとても楽しみにしていました。実は以前、とある器屋さんを営む夫婦のご自宅をおじゃましたとき、 ハッと目を奪われた器があったのです。 それは木のテーブルの上にさり気なくぽんと置かれ、 優しい黄と緑のお皿が、 自然の中の風景のようでした。 南仏とかスペインとか、南ヨーロッパ的なゆったりと大らかな雰囲気がありましたが、 気になって聞いてみると鳥取の山根窯の器だとのこと。 それがずっと印象に残っていました。

山根窯は青谷町という奥深い山の中にありました。 辺りは因州和紙という、1000年以上の歴史ある和紙の里として有名な地域です。 山根窯の主、石原幸二さんは元々この地に生まれ、 前回ご紹介した岩井窯で修行されて、1985年の春に窯を開きました。 到着すると、ご夫婦でにこにこと出迎えてくださり、 お家に上がって、まずは一休み。部屋のあちこちに、たくさんの器が並べられていました。

山根窯 器
ユニークな色やかたちが無国籍な雰囲気。
無垢で大らかで、懐の深い温かさを感じます。


山根窯の器は、スリップウェアや飴釉を使ったものなど、 ゆったりと素朴な風合いでありながら、 色使いや形、描かれた線の潔さに、どこかモダンな印象があります。 そして、見ているだけで明るく楽しい気持ちにしてくれそうな器です。 この器に料理を盛ったらおいしそうなのはいうまでもありませんが、 器自体にも、元気をくれる栄養がたっぷり詰まっているように感じました。 いっぱいご飯が食べたくなるような、のどかでおいしそうな器なのです。

日々使われる、暮らしの器

山根窯 工房
工房の一角。窓の外にたくさん吊るされているのは玉ねぎ!
さて、工房にもおじゃましました。山根窯では、年に2回、登り窯で焼かれている とのことですが、次回の窯入れは秋。ということで私たちが訪れたときは、 まだまだ制作段階でした。 これから焼かれるのを待っている状態の器が、棚に積み重なってたくさん並んでいました。

暮らしにささやかな潤いを届けてくれるような、日々しっかり使える器を 作りたい、というのが石原さんの想い。どっしりと地に足を付け、 何でもこい!と余裕の表情を見せる、とても頼りがいのある器に感じました。 そして丁寧で誠実な石原さんの人柄が、器にも宿っているようでした。

山根窯 工房
回りは田園風景、庭には人懐っこいワンコがいます。
次の窯出しにはどんな器が並ぶのか、楽しみになってきました。


窯元は、ギャラリー兼ご自宅となっており、 無垢の木をふんだんに使った明るく気持ちよいお部屋でした。 あまりの居心地良さに、 もうこの日の予定がどうでもよくなってくるほどでした。 ご夫婦は、古いものや民芸品がお好きなようで、 世界各国から集まった珍しい家具や調度品、小物などが、ご自身の作品と共にセンス良く飾られています。 キッチンにずらりと並べられた素朴なかごやアイアンの道具など、 どれも見ていて飽きません。このような個性的なオブジェや道具達が、器作りへも影響を与えているのでしょうか。作品と不思議に共鳴しているようです。 ひとつひとつがユニークで、そんな道具のお話を聞くのも興味深いことでした。

山根窯 お部屋
南米やアジア、日本の古いもの、そして自身の作品が
ミックスされ、印象的な風景を作り出しています。


外は緑に囲まれて、深呼吸したくなる風景です。 近くには和紙の工房や資料館などもあるので、合わせてたずねてみても よいのではないでしょうか? ほのぼのと温かな石原夫妻の人柄に、どうにも離れがたい場所でした。


山根窯 
鳥取市青谷町山根190
tel 0857-86-0531
9:00~17:00 不定休(訪問時はご連絡を)


次ページでは、柳ディレクションで有名な因州中井窯や、蹴ロクロ、登り窯で全て作り上げる福光焼、 そしてこれからが期待される若手の工房などを訪ねます。