雑貨/ハンドクラフト・工芸

鳥取の手仕事を巡る旅3 陶芸窯元巡り2(2ページ目)

陶芸巡り第2弾では、柳ディレクションで有名な「因州中井窯」や、蹴ロクロ、登り窯で作陶されている「福光焼」、そして大らかで潔い形と色使いが魅力的な「山根窯」などを訪ねました。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド

因州 中井窯

整理整頓された清潔な工房。清々しくきれいです。
次に訪れたのは、因州中井窯(いんしゅうなかいがま)。鳥取の民藝運動の指導者・吉田璋也氏によって、「新作民芸」に取り組んだ窯で す。緑釉と黒釉のツートンでパリッと掛け分けた器などは代表的なもの。 工業デザイナー、柳宗理氏によるディレクション作品も有名で、 幅広い年代の人々に愛されています。



中井窯 工房
登り窯も見せていただきました。薪が丹念に積み重ねられています。


現在は二代目である坂本實男さん、そして三代目の章さんが器作りをしています。 シンプルで使いやすく、毎日の暮らしに似合う、普段使いの器です。 メリハリのある美しい発色は、北欧やミッドセンチュリーなど、モダンな洋の空間にも馴染みやすく、マルチに活躍できそうな器です。 それでいて、手作りならではの素朴で温かい質感が、日本人の感性にしっくりとくるのです。 ほんとに日常に使っていいのかな?とちょっと贅沢で豊かな気持ちにさせてくれます。 東京のアパレルやインテリアショップなどでもたまに見かけることがありますが、 なかなか人気も高いようで、すぐになくなってしまいます。

中井窯 器

これだけたくさんの種類を見られるのはここだけです。


ここでもみなさん快く迎えてくださり、のんびりとした時間を 過させていただきました。築80年という古い一軒家はとても趣きがあり、 家の前には石で囲った大きな池があって、鯉がたくさん泳いでいます。 昔ながらの日本の民家という風情で、東京ではなかなか見かけないせいか、 すっかり寛いでしまいます。 訪問中のいっとき、ザーッとスコールのような雨が降ったのですが、 帰るときには一層緑が濃く、景色が生き生きと見えました。

中井窯 部屋

柳宗理氏のプロダクトがさり気なく和の空間の中に。
たくさんのひまわりが生けられたつぼも印象的でした。



因州 中井窯
鳥取県鳥取市河原町中井243-5
tel 0858-85-0239
9:00~18:00 不定休(訪問時は要連絡)
http://www.inabapyonpyon.net/~nakai-k/




福光焼 河本賢治さん

愛嬌のあるシーサーが出迎えてくれます。
さて、次は福光焼(ふくみつやき)の窯元を訪れました。倉吉というところにあります。 倉吉は、白壁土蔵の古い街並みを残した地域 (酒蔵や醤油蔵などもあり、観光地となっています。)が有名でありますが、 そこからは少し離れた山の中にあります。地元で生まれ育った 河本賢治さんは、15歳から陶芸の道に入り、1980年に窯を開きました。 2006年に鳥取県伝統工芸士として認定されています。


福光焼 器
素朴でシンプル、落ち着いた風情の器たち。


河本さんは陶芸を始めて38年。一般的な電動ロクロではなく、 蹴ロクロという足で蹴りながら回す手動式のロクロで作品を作っています。 人間の足で調節することから、回り方が均一ではなく、 機械には出せない人の手の気配に味わいが感じられます。 釉薬ももみ殻で手作りし、登り窯で年3回焼いています。 蹴ロクロをくるくると回して、あっという間に作品を作り上げる河本さんの 動きはとても無駄がなくリズミカルで、見ていて爽快なものでした。

福光焼 工房
左下は登り窯の前にあった祭壇。器への想いに神聖な気持ちになります。


仕事をするのが本当に好きだという河本さんの器は、 素朴でさり気ないデザインの中に丁寧な気遣いを感じます。 いつもテーブルに置いて、大事に育てていきたい器です。


福光焼
鳥取県倉吉市福光126-2
tel 0858-28-0605
9:00~19:00 不定休(訪問時は要連絡)




牧谷窯と末宗工房

牧谷窯は海のすぐ近く。工房にはサーフボードがありました。
さて、最後に鳥取の中では若手の作家を二人ご紹介。 牧谷窯(まきだにがま)は美しい海沿い、浦富海岸のすぐ近くにあります。 岩井窯とも近いので、一緒に訪れることも可能です。 この窯の主、杉本義訓さんは1971年生まれで地元育ち。 岩井窯の山本教行さんに師事し、2001年に独立しました。 自然素材の釉薬を研究したり、陶土は県内で自ら採取したり、 オリジナリティを進化させているようです。 民芸の流れを汲みつつも、すっきりスタイリッシュな印象の器です。

牧谷窯 器
若い人でも手に取りやすい、モダンで使い勝手のいい器。


牧谷窯
鳥取県岩美郡岩美町牧谷1107-4
tel 0857-73-1381
8:00~17:00 不定休(訪問時は要連絡)



末宗工房(すえむねこうぼう)は、1977年生まれの末宗智彦さんが開いた工房。 2001年に沖縄県立芸術大学美術工芸科陶芸コースを卒業し、 2005年に独立しています。 工房があるのは、山陰随一の名峰といわれる大山のふもと。 暮らしに使いやすい器以外に、オブジェ制作やインスタレーションなど、 アーティストとしても幅広く活動しています。 また奥様、奈保子さんも陶芸家で、夫婦揃っての作品展も開催しています。

末宗工房
大らかで生き生きとしたデザインは沖縄の影響もあるようです。


末宗工房
鳥取県西伯郡大山町東坪1216
tel 0859-54-4411
10:00~18:00 月曜休 他不定休(訪問時は要連絡)
http://suemune.hp.infoseek.co.jp/



鳥取の情報は以下が便利です。

鳥取県観光情報  http://yokoso.pref.tottori.jp/
とっとりの手仕事HP  http://www.pref.tottori.lg.jp/teshigoto/


第1弾では、鳥取民芸美術舘やたくみ工藝店をご紹介
第2弾では、陶芸窯元巡り、岩井窯をご紹介
第4弾では、木工、和紙、郷土玩具など様々な工芸品をご紹介


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因州中井窯
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