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パン作りの基本レシピ! 用語と材料

パン作りに登場する専門用語、発酵やガス、ベンチタイム等の説明と、作り方の行程。パン作りに必要な基本の材料強力粉等、粉の種類。水やイースト、バター等その他の材料について分かりやすく解説していきますので、初心者でも簡単にできる、パン作りの基本です。

松野 玲子

執筆者:松野 玲子

ユニークな手作りパンガイド

パン作りの基本用語と材料

パン作りの基本用語とは

パン作りの基本用語とは

材料を用意して、こねて、発酵して、焼いて……。パン作りの前に、パンができるまでの流れを頭に入れておきましょう。中でも、パンが焼き上がるまでの工程とそれを示す用語は、知っておきたい基本です。粉やイーストなど、最初にそろえたい材料についても解説します。
   

「こねる」とは、グルテンを引き出し風呂敷をつくる作業

パン作りの基本

よくこねることで、パンもよくふくらむ

「こねる」とは、材料を均一に混ぜて、小麦粉に含まれるグルテンを引き出し、ガスを包む伸びのいい風呂敷をつくる作業。

伸びのいい風呂敷をつくるためには、たんぱく質を多く含んだ小麦粉を使い、しっかりこねます。そうしてできるのが、食パンなどの「ふっくら系」パン。目の詰まった生地、歯切れのいい生地を楽しむフランスパン、ライ麦パンなどの「みっしり系」パンは、風呂敷があまり伸びなくてもいいので、こねもそこそこでOK。
 

「発酵」とは、ガスを発生させる工程

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十分発酵した生地は、指を入れても穴がふさがらない

イーストが小麦粉や生地に配合された糖を分解し、パンをふくらませるためのガスを発生させる工程を「発酵」といいます。

イーストが活動するのは5℃~40℃くらいで、適正温度は25~35℃くらい。最近は「低温長時間発酵」と呼ばれる、冷蔵庫(庫内は5~10℃)に一晩入れてじっくり発酵させる方法も注目されています。

季節によって室温は異なりますが、人間が心地よいと感じれば、イーストも元気に活動します。温度管理(25~35℃くらい)をすれば、発酵時間もだいたい決まってきますが、「1.5~2倍にふくらみ、指先でそっとさわるとやわらかな弾力がある状態」を見極めればOK。気温の低い季節には少し、気長に待てばいいです。

ただし、気温が高い季節はあっという間に発酵が進んでしまうので、過発酵に注意。風味の悪い生地になってしまいます。
 

「パンチ」とは、生地中のガスを抜く作業

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やさしくガスを抜くのが、パンチ

「パンチ」は、発酵途中または発酵後に、生地中のガスを抜く作業です。生地中にできた気泡を均一にし、伸びきったグルテンを強化し、再びふくらむ力をつけます。

パンチといっても、あくまでも手でやさしく押す程度の力加減で。
 

「分割・丸め」は、生地を切り分け、成形の準備をする工程

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スケッパーで手早く切り分ける

「分割」とは、作るパンに合わせてパンを切り分けることです。切り分けた生地は、「丸め」をすることで、切った断面からガスを逃さないようにします。

「成形」の作業の前に、再びふくらむ力を取り戻させます。
 

「ベンチタイム」とは、生地の休み時間

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ぬれ布巾をかけて、生地を休ませる

「丸め」をして、再びガスをためこむためにふくらむ力がムキムキわいた生地は、弾力がありすぎて、扱いにくくなります。

次の工程(成形)で作業がしやすいように、15~30分ほど生地を休ませて、生地の弾力をゆるめることを「ベンチタイム」といいます。
 

「成形」とは、目的のパンに合わせた形にする作業

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丸めたり、棒状にしたり、編んだり、成形でパンのバリエーションが広がる

「成形」は、でき上がりの形に近づけるために丸や棒状にしたり、型につめたりすること。

それ以外にも「パンチ」と「丸め」の意味もあります。オーブンに入れるまでに、もう一度、ゆるんだ生地にふくらむ力をとり戻させます。
 

「最終発酵」とは、最大限にふくらませるための助走

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焼く前に8割ほどふくらませておき、オーブン内で最大限にふくらむようにする

「最終発酵」は一次発酵とは少々違い、適温(32~36℃)で、できあがりの8割程度まですみやかに発酵させます。

ある程度弾力を残した状態の生地を、オーブンの中で最大限にふくらませます。グルテンが元気なうちに焼くことで、ボリュームのあるパンができます。


 

パン作りの基本材料「小麦粉」

最近は製菓・製パン材料店、ネットショップなどで、いろいろな粉が買えるようになりました。パンに使うのは主に「強力粉」、クイックブレッドには「薄力粉」を使います。粉選びに迷ったら、「たんぱく質、灰分(かいぶん)」の表示を見てみてください。

白い小麦粉は、外皮や胚芽を除いた、胚乳の部分を挽いたもの。「灰分」とは、この外皮に近い部分や胚芽の含まれる分量を指します。灰分が少ないほど白い粉(0.3~0.4%くらいだと、1等粉と呼ばれる)になりますが、外皮に近い部分はミネラルも豊富なので、健康を意識して、灰分の高い粉を選ぶパン職人さんも増えています。ただ、全粒粉など、灰分が高い粉は、生地がベタつき扱いにくくなるという短所もあります。

■強力粉、薄力粉
小麦粉は含まれるたんぱく質量によって、以下のように分類されます。

たんぱく質量
強力粉   11.5~15%
準強力粉  10.5~11.5%
薄力粉    6.0~8.5%

たんぱく質が多いほど、グルテンの伸びがよく、イーストにより発生したガスをしっかりとらえます。また、グルテンが多いほど「窯のび(焼いたときに縦にふくらむこと)」がよくふっくたとし、グルテンが少ないほど「歯切れ」がよく、さっくりします。私は食パンや菓子パンにはふっくらする「スーパーカメリア」、私の大好きなパン屋さんも使っている「ベルムーラン」などを使っています。準強力粉はハード系やセミハード系のパンに使います。「リスドオル」は手に入りやすいですが、「フランスパン用」などと表示のある粉をいろいろ試してみてもいいですね。

■全粒粉(グラハム粉)、ライ麦粉
繊維質やビタミン、ミネラルが豊富な小麦の外皮、胚芽の部分もまるごと挽いた「(小麦)全粒粉」や「グラハム粉」、糖質の代謝を促すビタミンB群が豊富、でもグルテンを含まない「ライ麦粉」もよく使われます。ちなみに、グラハム粉という名前で売られている粉も小麦全粒粉です。ただ、グラハム粉として販売されているものは、粗挽きのものが多いようです。

■米粉
発酵が1回ですむし、こねるのもラクなので、初心者の方は米粉パンから始めるのもいいかもしれません。使うときは「パン用ミックス粉」を選ぶか、「製パン用米粉」に強力粉を3割以上混ぜて使うといいと思います。

■国産小麦粉
生産量が少ないので、外国産小麦粉より高価ですが、食の安全性が注目される最近は努めて国産小麦粉を使う人も増えています。たんぱく質量が少なめなので、外国産小麦粉ほどボリュームが出ないとも言われますが、もっちりとした食感が持ち味なので、ベーグルなどに使ってはいかがでしょうか。
 

小麦粉と合わせる水やイースト等その他の材料

■イースト
パンをふくらませるのに欠かせないのが「イースト」。イースト(=酵母)には、生イースト、ドライイーストなどがありますが、使いやすいのはインスタントドライイーストです。予備発酵もいらないし、粉に直接混ぜられて便利。国産メーカーのものと、フランスの「サフ」など国外メーカーのものがあります。

国産のものは食パンや菓子パン向き、外国産はフランスパンをはじめ、油脂や卵の入らないリーンなパン向き。ブリオッシュなど砂糖の多い生地(粉の15%以上)に外国産イーストを使うときは「耐糖性」を選びます。開封後は冷蔵庫または冷凍庫で保存します。

「ホシノ」や「あこ」の天然酵母も、イーストとは違う独特の風味が楽しめます。インスタントドライイーストに比べ、発酵には時間がかかります。でも、それも考えようで、パン作りにまとまった時間がとれないときには、「待ってくれる」生地、つまり発酵ピークの時間が長い生地になるので、成形やオーブンに入れる工程に進むときにも、あわてなくてすむのです。

■水(仕込み水)
季節に合ったパン作りをするときに、温度調整もできる「水」。ミネラルウォーターにこだわる必要はないし、「ヘルシーだから…」とコントレックスなどの硬度の高い水を使うと、扱いにくい生地になることがあります。

ただし、水温には気をつけます。イーストや酵母は人間と同じで、気温に合わせた心地よい水温を求めます。温度計で測る必要はありませんが、パンをつくる場所の温度に合わせて、夏は冷水を、寒いときはお風呂のようなぬるま湯(でも50℃を超えると、イーストが死んでしまいます!)を使います。

■塩、砂糖
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旅先で買った塩や砂糖を使ったパン作りも楽しい!

風味をつけるだけでなく、生地を特徴づけるのが「塩」と「砂糖」です。

「塩」は塩味をつけるという役割のほか、こねてグルテンの出てきたパン生地を引き締め、しっかりとした骨格をつくる働き、雑菌の繁殖防止という働きもします。粉に対し2%程度配合するのが普通で、それ以上入れると生地の発酵を妨げることになるし、塩味もかなりきつく感じるはずです。

一方、「砂糖」はパンをやわらかくしたり、おいしそうな焼き色をつけたりするほか、イーストの栄養源となって発酵を助けます。パン生地に使うのは「上白糖」が一般的。できあがったパンはしっとりします。

「はちみつ」も入れるとしっとり効果あり。ただし、入れすぎると生地がだれることがあります。また、生地に入れて焼き込んでしまうと風味は失われてしまうので、トッピングとして上にかけて焼いてもいいでしょう。パンの表面に散らして焼き、味と食感、見た目のアクセントに使われる「あられ糖」のような、トッピング専用の砂糖もあります。

私は旅先で塩や砂糖を買うのが好きです。旅を思い出しながら、現地の塩、砂糖でパンを焼くのも楽しいものです。パリのデパートで買ったフレーバーのついた塩をフォカッチャの上にかけたり、バリ島のピュアなヤシ砂糖とココナッツを合わせて、プチパンの中に入れて焼いたり。旅の思い出をパンに焼き込むのはオススメです。

■卵、油脂、乳製品
生地に入れる、生地に塗る、いろいろな役割をするのが「卵、油脂、乳製品」。

「卵」は、パンの生地に入れると、見た目もおいしそうな卵色になるほか、加熱されると凝固するという性質上、パンの形を保つ働きもします。表面に塗れば、おいしそうなツヤがでます。ただ、ブリオッシュのように卵の量が多い場合は、一部を卵黄だけにします。卵白が多いと生地がパサついてしまうのです。

パン作りで使う「油脂」は、バター、ショートニング、オリーブオイル。クイックブレッドではバター、サラダ油を使います。油脂を入れることで、生地の伸びがよくなり、パンにボリュームが出ます。また、水分の蒸発を防ぐのでやわらかさが長持ちします。オリーブオイルは、表面に塗って焼くフォカッチャがよい例ですが、風味づけによく使われます。

「乳製品」で主に使うのは、牛乳とスキムミルク。パンのキメを細かくし、おいしそうな焼き色をつける働きがあります。生クリームなど、ほんの少し入れただけで、絹のような口どけのよいパンになります。水の代わりに牛乳を使いたいときは、水の1割増しの分量にします。牛乳は固形分を10%ほど含んでいるからです。保存性の高いスキムミルクは、すぐに湿気を吸う性質があるので、計量したら使うまでラップをかけておきましょう。

ベーキングパウダー、ベーキングソーダ
どちらも、薄力粉を使ったクイックブレッドをふくらませるのに使います。ベーキングソーダ(重曹)はヨーグルトやサワークリームなど、酸味のある材料を入れるときに、ベーキングパウダーとともに使います。
 

覚えておくと便利な「ベーカーズパーセント」

このサイトのパンレシピは、小麦粉量の基本を300gにしています。この小麦粉の量を基本に水、塩、イースト、副材料の量も決まります。ベーカーズパーセントというのは、小麦粉量を100%としたときの、その他材料の小麦粉に占める割合です。「今日は小麦粉500gにしよう」と思ったときにも、水が70%なら500g×0.7=350g、砂糖が7%なら500g×0.07=35g、イーストが0.7%なら500g×0.007=3.5gと、小麦粉量に合わせて、その他材料の分量を算出できます。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※衛生面および保存状態に起因して食中毒や体調不良を引き起こす場合があります。必ず清潔な状態で、正しい方法で行い、なるべく早めにお召し上がりください。また、持ち運びの際は保存方法に注意してください。

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