※今回は、日本賃貸住宅管理業協会(日管協)の「家賃査定ハンドブック」を参考に賃料査定の方法を解説しています。
家賃査定のプロの技3~「有効面積から仮賃料を出す!」
有効面積、標準間取りの賃料が出せたら、次は査定物件の有効面積から仮賃料を算出します。査定物件の有効面積が18畳以下ならば1Kと2DKの標準間取りを使って計算し、有効面積が8畳を超えるならば2DKと3DKの標準間取りを使って計算します。
【査定する物件】 間取り 2K 専有面積 33平米 和室6畳、4.5畳、K3畳 有効面積 13.5畳 収納1.5畳分 |
例えば、第1弾で出てきた査定物件2K(右の間取り)(右の2Kのを査定する場合には、有効面積が13.5畳(和室6畳+4.5畳+K3畳=13.5畳)ですから、1Kと2DKの標準間取りを使うのです。考え方は、まず標準間取りから1畳あたりの賃料を出し、これを1Kの標準間取りと査定物件の差の分に足すというもの。例を出して計算してみましょう。
●仮賃料の出し方
■A:標準間取り1K(有効面積8畳)の賃料=6万円、B:標準間取り2DK(有効面積18畳)の賃料=10万円とすると、
(1)標準間取りAとB の賃料差
10万円―6万円=4万円
(2)標準間取り1畳あたりの賃料
4万円÷(18畳―8畳)=0.4万円
(3)査定物件の賃料は?
査定物件と標準間取りAの有効面積の差
13.5畳―8畳=5.5畳
標準間取りA+5.5畳×0.4万円
=6万円+2.2万円=8.2万円
∴査定間取りの仮賃料は、8.2万円
ちなみに、有効面積が18畳を越える場合には、標準間取りは2DKと3DKを使います。先ほどと同じように、1畳あたりの賃料を計算したら、標準間取り2DKの賃料にその分をプラスします。
~ちょっと難しくて分からな~いなんてことになっていますか?ごちゃごちゃと計算しているように思われますが、実はとってもシンプル。標準になるものから、広さやそのほかの付加価値によって、賃料を差し引きするだけなのです!さて、プロ技もここまできたら最後のひと仕事。実はここがいちばん大変なのですが、おもしろいところでもあります。
さて、仮賃料が出せたらいよいよ仕上げ。この仮賃料は標準間取りをもとに出したものなので、物件ごとの付加価値が含まれていません。例えば、駅から近い部屋とバスを利用する部屋とでは、同じエリア、同じ間取りでも家賃が違って当然。こういったその物件独自が持つ、付加価値を仮賃料にプラスマイナスして、本当の査定賃料を出すのです!このプラスマイナスの仕方は次へ!
>>>第4回:家賃査定のプロの技4「付加価値のプラスマイナスを計算する」
<「家賃査定の裏側」シリーズ>
第1回:家賃査定のプロ技1「有効面積を出す」
第2回:家賃査定のプロ技2「標準家賃を出す」
第3回:家賃査定のプロ技3「有効面積から仮賃料を出す」
第4回:家賃査定のプロ技4「付加価値のプラスマイナスを計算する」
第5回:家賃査定のプロ技5「いよいよ査定賃料を出す」