産後は「オ血」に注意!
母乳不足の薬膳では、豚足や豚肉、魚では鯉やフナなどを使ったスープが伝統的
そして出産時に大きなエネルギーを使ってまもなくすると、哺乳がはじまります。ママは自分の血液から母乳を作りだし3時間おきに母乳を与えますが、これも多くのストレスが精神的にも肉体的にもかかるのです。
とくに産後は出産時の出血や哺乳により、血が不足しやすい時期。なお、産後の病気や異常は多くの場合、子宮の働きが回復しないために血流が悪く、新しい血を作り出せなくなる、いわゆる「オ血」になりやすい時期でもあります。
産後の肥立ちチェック
そこで、産後の肥立ちの良し悪しを判断する3つの大きなポイントを紹介します。1. 下腹部に痛みがあるか
2. 産後に便秘があるか
3. 母乳の出が悪くないか、食欲があるか
これらのチェックが当てはまる場合、産後の肥立ちが悪いために体調不良を起こしている可能性があると考えます。また、産後に下痢、嘔吐、寝汗が続く場合もあまりよい状態とはいえません。
漢方対策~産後によくある体調不良
■産後の悪露が長引く悪露が1ヶ月以上続く場合のことを指します。もともと体質虚弱だったり、産後すぐに職場復帰などをしてがんばりすぎてしまったために胃腸の働きが低下し、出血を抑えることができなくなったり、ストレスの影響で自律神経のバランスが乱れて体に余計な熱がこもり出血が続いたり、血流が悪くうまく悪露を排出しきれないことが原因として考えられます。
胃腸が弱いタイプには補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、自律神経のバランスの乱れタイプには加味逍遙散(かみしょうようさん)+四物湯(しもつとう)、血流が悪いタイプには生化湯(せいかとう)などがよく使われます。
■産後の肥立ちが悪い
いわゆる産後うつの症状として不眠が続いたり、子供をかわいいと思えない、疲労感が強い、イライラする、動悸がするなどさまざまな症状が出ます。真面目な女性がなりやすいといわれていますが、生活環境がガラリと変わることに加えて子宮の戻りが悪いために起こる症状と考えられています。
多くの場合、血行不良が見られ、血流を改善する漢方+血不足を補う漢方、血流を改善する漢方+自律神経のバランスを調える漢方など、その人の症状に合わせて処方することでつらい悩みから解放されることが少なくありません。また、新薬と異なり、母乳育児を続けながら治療をしていけることも特ちょうの一つです。
■乳腺炎になりやすい
乳腺炎になっている方の多くは食生活が原因です。甘いものが好き、脂っこいもの、生ものが多いなど食生活が乱れているために血流が悪くなり、乳腺炎を起こしやすくなります。まずは食生活に気をつけることが第一。
乳腺炎になってしまった場合、発熱を伴うときは葛根湯(かっこんとう)などがよく処方されます。また、合わせて牛蒡子(ごぼうの種)を炒ったものを煎じたり、そのまま食べて、つまってしまった乳腺の炎症を取り除くことが一般的です。
■母乳の出が悪い
母乳はママの血液から作られているように、もともとママのカラダが血不足だったり、ストレスなどによって自律神経のバランスが乱れ、血流が悪いと母乳を作り出す働きが低下しやすくなります。
血不足タイプの場合、乳房が柔らかく、張った感じがない、乳が薄い、食欲がない、疲れやすいなどの症状が出やすくなります。このようなタイプの場合、十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)などを処方することが多いです。また中国では豚足を使ったスープなどを飲んで、母乳不足や体力回復に役立てたりします。
ストレスタイプの場合は乳房が硬く張って、乳が濃い、イライラしやすいのが特徴的。加味逍遙散(かみしょうようさん)などが代表的です。
次回は漢方で考える更年期障害についてご紹介します。どうぞ参考にしてください。