痛みと不眠の悪循環ができる前に、何とか手を打ちましょう。
1. 痛みを伴う病気
2. 呼吸器や神経の病気
3. 女性特有の問題、その他の病気
4. 治療法
痛みを伴う病気
慢性疼痛に悩む人は、人口1万人あたり1,700人もいます。さらに、1つ以上の慢性疼痛を持つ人の40%以上が、不眠を感じています。慢性疼痛による不眠では、一度目覚めたら再び眠ることが難しいのが特徴です。痛みは不眠をもたらし、不眠は翌日の痛みをさらに強くするので、慢性疼痛がある人はない人よりも、日中の不調や活動性の低下がひどくなります。慢性疼痛の代表的疾患で、日本では200万人以上がかかっていると考えられています。しかし、きちんと診断されて治療を受けている人が少ないのが現状です。体のあちらこちらが痛く、不眠や慢性疲労、抑うつ症状も見られます。治療としては、少量の抗うつ薬と運動療法が効果的です。
日中にも起きる偏頭痛や群発頭痛、慢性一側性頭痛のほかに、睡眠中だけに生じる睡眠時頭痛もあります。また、高血圧や脳腫瘍、脳動脈奇形による頭痛でも、睡眠が障害されます。重度の頭痛がある人は、ない人に比べて不眠や日中の眠気が2.4倍になる、という報告もあります。
日本における関節リウマチの患者数は、70万人と推定されています。主な症状は、朝の手指のこわばりや手指関節の痛みと腫れです。関節リウマチ患者の3分の2が、不眠を訴えています。関節痛や頚椎の亜脱臼による呼吸障害、周期性四肢運動障害、抑うつが睡眠障害の原因です。また、むずむず脚症候群 の合併も多く見られます。 肥満がある人では、睡眠時に気道の閉塞あるいは狭窄をおこし、無呼吸となって睡眠が障害されます。また、糖尿病では神経系も傷むため、末梢神経障害や 周期性四肢運動障害 による不眠も見られます。
胃酸の分泌にはリズムあり、日中が少なく深夜に多くなります。そのため十二指腸潰瘍患者では、夜間に痛みが生じて目が覚めてしてしまうことがあります。
胃の内容物が食道に逆流する病気です。主な症状は、口の内の酸味や苦味、胸部の焼けるような不快感や痛みで、これらによって目が覚めます。気管支喘息患者で胃食道逆流が起こると、夜間に喘鳴や咳発作が起きて睡眠が障害されてしまいます。
呼吸器や神経の病気
慢性閉塞性肺疾患は、タバコ病とも呼ばれています。
治療薬のキサンチン系製剤で、不眠が悪化してしまうこともあります。また、多くの睡眠薬は、呼吸筋やノドの筋肉を緩めて呼吸困難を悪くするので、使うときには十分な注意が必要です。
- 睡眠関連喘息
BSE で有名になったプリオンが原因の、家族内で発生する病気です。40~50歳代で、記憶力の低下や不眠、夜間の興奮、高体温、発汗、頻脈で発症します。やがて筋肉のけいれんや認知症が進み、1年ほどで無動・無言状態になり死に至ります。
脳の黒質という部分が障害されるために、神経伝達物質のドーパミンが減って起きる病気です。主な症状は、手足の震えや筋肉のこわばり、動作の緩慢さ、姿勢の障害です。パーキンソン病では、睡眠と覚醒のコントロールの問題や、筋肉のこわばり、手足の振えや不随意運動のために、睡眠が障害されます。さらに、治療薬のドーパミンアゴニストも、副作用として不眠を起こすことがあります。
神経の病気では他にも、シャイ・ドレーガー症候群やオリーブ核橋小脳変性症、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病、脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷でも不眠が起こることがあります。
女性特有の問題、その他の病気
- 女性ホルモンとの関連
心臓の働きが悪いため、横たわる姿勢をとっていると呼吸が苦しくなります。そのため、座っていないと呼吸できない状態になり、十分な睡眠が取れなくなってしまいます。
- 内分泌疾患
- 皮膚疾患