知らないうちにパワハラしているかもしれない場合、自己チェックはどうしたらいいでしょう?

永井 パワハラするような上司は、自己反省をあまりしない人に多いです。したがって、そういう上司を問題視する監査制度が必要です。上司と部下の信頼関係は必ずしもあるというわけではない、ということを前提に、人事管理も考えないといけないと思います。

パワハラされているほうは、こうした上司にどう接したらいいでしょうか? また法的に訴える手段などはありますか?

永井 現在のセクハラ訴訟では100万円ほどの慰謝料が相場と言われていますが、セクハラに関してはすでに社会的な認知も高いため、会社も対処しやすい分野でしょう。しかし、パワハラは判例もなく、まともに相談に乗る弁護士もほとんどいません。現時点では認定しにくいのが実情なのです。
パワハラを受けた部下は、精神的に参ってしまいまうことが多いと思いますが、「自分はパワハラを受けている」という自覚を持ち、まずはストレスがたまらないように精神的な対処法を考えるべきです。もちろん、上司以外の会社の関係者にも相談すべきですし、社会的な認知も高めていく必要があります。

なるほど。セクハラとは違ってまだまだ理解してもらうのが難しいですからね。

セクハラは、今日概念が確立されているため、大手企業は特に敏感です。今でもセクハラで懲罰をうける人はいるかもしれませんし、まだまだ被害者もいるでしょうが、十分な対策が整ってきていると思います。さらに最近では一歩進んで、“ジェンダー・マネジメント”という取り組みさえあります。
これに対して、パワハラは、何の対策もないどころか、概念がまだ認知されていないので、被害に遭っている本人も、それがパワハラだと認識していなかったり、加害者も通常の「指導」の範疇に過ぎないと感じていることが問題です。
また被害は、同性に向かうことのほうが多いのではないでしょうか。異性だとセクハラの問題もあり、面倒だからです。つまり、上司が男性の場合、被害者は男性が多いと思います。