「あれもこれもやってきたけど、これでいいの?」
消費的な欲求と自己実現欲求は十分満たしてきた……次の課題は?
たとえば仕事や趣味で自分が見てきたこと、積んできた経験を何らかの形に残し、人々に伝えていくこと。未経験者や次世代を育成していくこと。こうした有形無形の何かを生み出し、育てるような行動を志向することが「生殖性」と捉えられるのです。
それができない場合、反転して「停滞性」を経験するとエリクソンは説きました。「自分の欲求は満たしてきたけど、それだけでよかったんだろうか」「自分のことばかり考えて生きても、なんとなくむなしい」……冒頭で述べたアラフォー・シングルに多い「あれもこれもやってきたけど、これでいいのか?」というつぶやきは、この停滞性ゆえの心情だと捉えることもできます。
「課題」はできることから始めてみよう
私の中にある「生み育てたい気持ち」と向かい合う
繰り返しますが、子どもを持つことにこだわらなくても、「生殖性」を目指すことはできます。
たとえば、自分の経験を振り返って「自分だからこそできる何か」を生みだして形にしていく。仕事でチームをまとめたり、部下を育てる。学んできたこと、経験してきたことを伝え、人々に還元する活動をする。やってきた仕事を通じて、社会貢献を考えてみる……。
それまでのライフスタイルに、何かを生みだす行動や人を育てる行動、蓄積してきたことを還元する行動が加わっていけば、成人期の発達課題である生殖性へと近づいていけます。
まずは、自分の興味のあること、できそうなことから始めてみてはどうでしょうか。きっと何かが変わるはずです。